株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

勝率44%でも利益はプラス!必勝の売買戦略を探る(2ページ目)

米国の幅広い大型株をカバーし、1950年以降の長期データが揃っている「S&P500指数」を使って売買戦略を検証してみました。そこから見えてきた答えは、「株は相場の良い時にだけ買い持つべし」というものです。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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勝率は44%でも、勝つ時は負ける時の3倍近く儲ける

もっとも、実際に前ページのようなトレードを辛抱強く行うのは現実的でありません。たとえば、売買回数の少ない中で連敗が続くと、普通の神経ではとても続けられないでしょう。

しかし、検証結果は株で勝つために必要な情報を示しています。要するにこのトレード戦法は、上昇トレンドの濃い部分だけ取引に参加し、少しでも崩れれば(深刻な大崩れとなる前に)いち早く脱出するという思想を具現化したものです。主要な経済国の指数でこのようにすれば、長期には負けることありません(数年では負けることもあるでしょう)。

長期に負けない理由は2つあり、第一に、いち早く脱出するのですから致命傷を全く受けないことです。62年間の間には深刻な株式不況(1970年代)、ITバブル崩壊、リーマンショック等々もありました。しかし下落相場の中の深刻な部分は必ず週足デッドクロス後なので、この検証だとそもそも取引に参加していません。また、株価が10週線を下回った瞬間というのは下落のごく初期であるため、大きな損失となりません。このため、114回もある負けトレードの平均損失は、わずか- 1.92%に過ぎないのです。

第二に、勝ちトレードは90回しかなく、そのうちの3分の2はどうでもいいような勝利に過ぎません。しかし残りは長期間続く上昇トレンドにより、大きな利益をもたらしています。このことによって勝ちトレードの平均利益率は+5.44%となりました。

買い入ったものの、数週程度で売り転換してしまえば(そういうトレードがほとんどを占めます)、それはロスカットかごく小幅の利益にしかなりません。この事実を淡々と受け止めることは、現実にはかなり難しいでしょう。しかし60日以上も10週線を割り込まずに上昇トレンド継続すれば、そのトレードは間違いなく勝利となり、少なからず大勝に結びつきます。これが通算で勝利をもたらす源泉です。

長く続ければ必ず出合う大相場に、この方法だと確実に乗れます。その時はガッツリと大きく勝てますし、「10週線が40週線より上に位置している期間」に、「株価が10週線より上にある時」に買えば、大相場を逃しようがありません。

この買い戦略は大相場を確実に満たす条件です。これら2つの条件を満たさない大相場などありえません。長く株をすれば、このような大相場に必ず出くわすものです。長期衰退している日本株ですら、ここ十数年の間にITバブル、2005年プチバブル、そしてアベノミクスバブルと、3度もありました。それらの時に、上の買い入り方法を実行し続ければ、取り逃すことはむしろ不可能なのです。

「株は相場の良い時にだけ買い持つべし」

今回の検証結果では、勝率は44%しかありません。そして大半のトレードは小幅な利益かロスカットです。これを耐えることが実際問題として大変苦痛をともないます。

しかし平均損益を見ると、1回あたりの平均負け金額が1万9212円なのに対し、平均勝ち金額が5万4353円と、2.83倍の差があります。アメリカの実証研究では、1トレードあたりの(平均)利益を損失の3倍とした場合、最も効率のよい投資戦略となったとするものもあります。今回の検証もおおむねこれに近いものとなりました。

この検証結果が物語っているのは、「株は相場の良い時にだけ買い持つべし」ということです。そしてロスカットの徹底と、勝つ相場にとことん乗る、というのが重要です。こうすることで利益が損失の3倍になり、長期では必ず勝てます。2~3年では勝てないこともあるでしょう。しかし10年もすれば、たとえ暴落相場があったとしてもそれを回避でき、そして必ず来る大相場に確実に乗って利益を厚くすることができるのです。

実際に上記の戦略通りの売買をする必要はありませんが、中長期トレードの成功イメージは常にこのようになると思います。イメージとは、勝率が低かったり、多くの取引があまり大きな意味がないものだったりする一方、一部の上位取引が利益を大きく伸ばす点です。このイメージは「パレートの法則」とも似ており、現実社会の法則でもあります。上記は指数を使ったシミュレーションでしたが、個別株を使った複雑な売買戦略も数多くあり、どれが正解というものではありません。ただ、どんな売買戦略を練ったとしても、最終的に損失を限定させ、少ないチャンスで利益を最大限伸ばす点は共通の必勝イメージです

参考:グローバルグロースレポート

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