特定の薬で独占的なシェアを持つ「特化型バイオ企業」

成長余地の高いアメリカのバイオ企業をチェック!

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ジャズ・ファーマシューティカルズ(JAZZ)は時価総額4000億円規模と、米国上場の医薬株としては小型であり、ある特定薬を専門とする特化型バイオ企業です。

現状でこそ、昨年に実施した2つの買収によって数多くの製品(薬)がありますが、もともとは一つの薬に頼っていた会社で、今も売上の6割を同じ薬が占めています。その薬は「ザイレム(Xyrem)」といって、ナルコレプシー(発作性睡眠)やEDS(日中の傾眠)という睡眠障害に対する処方薬です。

ナルコレプシーやEDSの患者は米国に15~20万人いるといわれ、それほど大きな市場ではありません。ただ現状、同社のこの薬のみが承認された有効なものであり、2024年までパテント(特許切れまでの独占販売期間)があります。そして患者の1~2割ほどしかこの薬による治療を受けておらず、成長余地が高いということで2年ほど前から注目されてきました。

「ザイレム」は飲み薬であり、睡眠前に所定の量を水で薄めて2回に分けて飲むだけ、という簡単な治療です。ただ非常に高価な値段がジャズ社によってつけられ、繰り返し大幅な値上げが実施されてきました。

下のグラフにある同社の高い成長は、「ザイレム」の販売量のわずかの増加と、そして繰り返されてきた大幅値上げ(当初の数倍の値段に。患者は年間に300万円以上が必要)によって成されてきたものと思われます。そして他のバイオ医薬企業の例に漏れず、その粗利益率は90%を超えます。市場は大きくないものの、特定の専門薬を有する強みがあります。
「ザイレム」で急成長してきた業績

「ザイレム」で急成長してきた業績


「ザイレム」買収で急成長

ジャズ社はもともと、2003年設立のカリフォルニア州の会社でした。2002年に米食品医薬品局より認可された「ザイレム」を有するある医薬会社を買収したことがブレークスルーとなりました。

2009年まで全て赤字だったジャズ社は、「ザイレム」のヒットにより、2010年に初の黒字に。当時、同社は2つの薬しか販売しておらず、そのうち「ザイレム」が全体の85%ほどを占めていました。この間だけでも「ザイレム」の価格は3倍以上に値上がりしています。株価も2010年後半よりザイレムの売上増によって大きく上昇し始めました。

そして2012年にAzur Pharma社という未上場の医薬会社を吸収合併の上、新たにアイルランドにJazz Pharmaceuticals plcという会社を設立しました(計画の発表は2011年)。社名は同じですが、最後の会社形態を示す3文字がInc(米国系の会社)からplc(英国系の会社)に変わっています。ナスダックへの上場は維持しており、旧ジャズ社の株主は新会社株式の8割を、旧Azur社の株主は同じく2割を持つ配分で合併しました。また同じ2012年に同社はEUSAという製薬会社を買収しました。

これらの再編を通じて保有する薬の数は大幅に増えましたが、「ザイレム」が稼ぎ頭であり、株価にとって最大のポイントである点は変わりません。

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