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南海トラフ地震に要注意 液状化マップ-東海地方篇

南海トラフのような海溝型地震は「強い揺れが長く続き震度が小さくても液状化が発生しやすい」という特徴があります。震源域に面した東海地方(愛知、岐阜、三重、静岡)は地震対策が急がれる地域のひとつです(2018年9月改訂版/初出:2013年6月)

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

東海地方の液状化マップ

政府の特別機関で日本の地震調査研究を行っている地震調査研究推進本部が公表したデータ(※)によると、海溝型の南海トラフ地震(マグネチュード8~9クラス)が30年以内に発生する確率は70~80%とされ「いつ発生してもおかしくない」状況となっています。
(※)地震調査研究推進本部「都道府県ごとの地震活動」「中部地方」(算定基準日:2018年1月1日)

今回は、静岡、三重を含む東海地震・東南海地震の想定震源域に近い東海地方の液状化マップを集めました。液状化マップでご自宅付近の安全性を確認しておきましょう。
 

愛知県の液状化マップ

愛知県防災学習システム 
液状化マップはこちら→「防災マップ」 

愛知県では、戦後最大の甚大な被害をもたらした東日本大震災を教訓として、南海トラフで繰り返し発生している地震のうち、過去に実際に発生したものを参考にして震度、液状化、津波などのハザードの予測 及び 建物被害・人的被害・ライフライン被害等の予測を行い、「防災学習システム」というホームページで公開しています。

 
「愛知県防災学習システム」のトップページ

愛知県防災学習システム」のトップページ


「防災学習システム」には、自宅周辺の防災マップを見ることのできる「防災マップ」、東海・東南海・南海地震が発生した時の自宅の様子をシミュレートできる「建物倒壊シミュレータ」、地域の防災情報をみんなで書き込むことのできる「地域防災の広場」、防災に関するビデオを見ることのできる「ビデオ教材でまなぶ」のコーナーがあります。

液状化マップは、防災学習システムトップページの「防災マップを見る」⇒「地震」⇒「2・液状化マップを見る」にて見ることができます。防災マップを初めて見る人向けの「シナリオ型マップ」、ある程度防災情報に詳しい人向けの「自由選択型マップ」の二種類があり、調べたい場所はそれぞれ地図上から、もしくは住所から選べるようになっています。

初めて見る人向けの「シナリオ型マップ」で愛知県庁のある名古屋市中区三の丸3丁目周辺を見てみると、南海トラフ地震が発生した時「震度6弱」の地震が発生する可能性があり「液状化危険度は高い」ということがわかります。名古屋市より南西側の港区、中川区、南区周辺、天白川流域には、より危険な液状化の危険性が極めて高い地域が集まっています。
 
愛知県庁舎がある名古屋市中区三の丸3丁目付近の液状化マップを見る(出典: 愛知県防災学習システム )

愛知県庁舎がある名古屋市中区三の丸3丁目付近の液状化マップを見る(出典: 愛知県防災学習システム


このシステムでは見たい地域の現在と過去の地形を比較したり、丘陵地、台地、盛土地などの土地条件図を見たり、震度マップと土地条件図、液状化マップと土地条件図を左右に並べて比較することもできます。ただマップを確認するだけでなく、どうしてそのような予測をしているのか、地形や条件と合わせ理解できる仕組みになっています。
 

岐阜県の液状化マップ

岐阜大学地震工学研究室地震防災情報
 
岐阜県庁付近の液状化判定結果を見る(出典: 岐阜大学地震工学研究室 地震防災情報 )

岐阜県庁付近の液状化判定結果を見る(出典: 岐阜大学地震工学研究室 地震防災情報 )


岐阜県の地震予測・液状化判定は岐阜大学地震工学研究室の「地震防災情報検索システム」で調べることが可能です。岐阜県だけでなく、愛知、三重、静岡、長野、山梨県の震度予測や液状化危険度も郵便番号や住所を入力して検索できます。液状化の判定は複合型東海地震、南海トラフの巨大地震、及び4つの内陸型断層を指定してみることができます。
 

三重県の液状化マップ

■三重県地域防災計画被害想定調査結果 (防災みえ.jp )

三重県は紀伊半島の東側に位置し、県の沿岸の多くが東南海地震の想定震源域に面しています。また内陸活断層による地震も警戒されています。三重県の液状化マップは三重県防災対策部の「防災みえ.jp」の「みえの防災」→「各種防災関連報告書」→「被害想定」→「液状化危険度予測分布図(平成25年度地震被害想定調査)」内でみることができます。

液状化危険度予測分布図は、三重県内の市町別に以下の5つの想定地震(※)を対象としたものを見ることができます。
1.  過去最大クラスの南海トラフ地震 
2.理論上最大クラスの南海トラフ地震 
3.陸域の活断層を震源とする地震
 (1)養老-桑名-四日市断層帯 
 (2)布引山地東縁断層帯(東部)
 (3)頓宮断層

 
南海トラフ地震(過去最大クラス)が発生した時の津市の液状化危険度予測図(出典:三重県各種防災関連報告書)

南海トラフ地震(過去最大クラス)が発生した時の津市の液状化危険度予測図(出典:三重県各種防災関連報告書


地震被害想定調査結果(ハザード関係)の概要について(平成26年3月 三重県防災対策部)によると、想定した地震被害(5ケース)(上記※)のいずれかにより、全ての市町で震度6強以上(最大震度)が想定されています。

液状化危険度が極めて高い範囲は、新しい時代の堆積物が厚く堆積している伊勢平野内の伊勢湾沿岸部に集中しています。液状化による建物被害は過去最大の南海トラフ地震と同規模の地震発生で約5,900棟と想定しています。

 

静岡県の液状化マップ

■東海地震の推定液状化危険度(静岡県地震防災センター
液状化マップはこちら→(静岡県第4次地震被害想定(GIS)
 
静岡県全域の液状化マップ(出典:静岡県第4次地震被害想定GIS)

静岡県全域の液状化マップ(出典:静岡県第4次地震被害想定GIS


静岡県の液状化マップの最新版は「静岡県第4次地震被害想定(GIS)」で見ることができます。このトップページで調べたい住所を入力し、見たい情報を選択すると色分けされた地図データが表示されます。液状化の可能性が高い地域は、駿河湾に面した沼津市、富士市、静岡市、焼津市、藤枝市、牧之原市、遠州灘に面した御前崎市、掛川市、袋井市、磐田市、浜松市、浜名湖周辺等、天竜川沿い等に見られます。

震度分布図、液状化想定、津波浸水想定といったデータの他に、土砂災害情報マップ、富士山火山防災マップなど災害別の情報や、旧版地形図、表層地層図、ボーリングデータなど地盤情報も入手でき、使いやすいシステムになっています。「ハザードマップ」を開くと様々な災害に関する情報を重ね合わせてみることができ、作図も可能のため、各家庭用のハザードマップ作成に役立てることができます。

【関連サイト】
地震調査研究推進本部

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