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先取り貯蓄は「家計のステージ」に合わせて実践!

貯蓄の王道的手段といえば、「先取り貯蓄」。ただし、この先取り貯蓄、意外と奥が深いのです。というのも、いろいろな家計のご相談を通して、同じ「先取り貯蓄」でも、「家計のステージ」によって、ちょっと考え方が異なるのではないか、と思うようになってきました。

八ツ井 慶子

執筆者:八ツ井 慶子

医療保険ガイド

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「先取り貯蓄」は意外と奥が深い

お金を貯める王道的手段といえば、「先取り貯蓄」。

貯蓄を得意としている人には、もう耳にタコができるくらい聞き飽きた言葉かもしれません。収入が入ったら、先に貯蓄分を差し引いて、残りのお金で1カ月やりくりしましょう、というもの。その逆で、“余ったら貯める”はNGなわけです。
 
奥の深い「先取り貯蓄」の活用方法

奥の深い「先取り貯蓄」の活用方法




〇 収入-貯蓄=支出 (先取り貯蓄)
× 収入-支出=貯蓄 (余ったら貯める)


ただし、この先取り貯蓄、意外と奥が深いのです。というのも、いろいろな家計のご相談を通して、同じ「先取り貯蓄」でも、「家計のステージ」によって、ちょっと考え方が異なってきます。
 

家計のステージによって先取り貯蓄の考え方は異なる

家計には次の5つのステージがあります。

1.毎月赤字の「マイナス家計」

2.赤字までいかないけれども、なかなか貯蓄のできない「トントン家計」

3.とりあえず貯蓄はできているけれども、貯蓄に明確な方針がなく不安を抱える「ノーポリ家計」(「ノーポリ」とは「ノーポリシー」の略)

4.お金を使うところと使わないところの軸をしっかり持っている「メリハリ家計」

5.お金にとらわれず幸せに暮らしている「しあわせ家計」


お気づきかと思いますが、私が勝手に命名しています。

先取り貯蓄は、5つのどのステージにおいても有効な手法です。しかし、「考え方」はだいぶ異なります。
 

「いくら貯められるか」は重要?

まず、マイナス家計やトントン家計であれば、先取り貯蓄の大きな目標はプラスの家計になること。ですから、先取り貯蓄として貯めたい金額は1万円でも2万円でもいいのです。マイナス家計であれば、ゼロからのスタートかもしれません(トントン家計になることを目指す)。つまり、これらのステージでは先取りする「貯蓄額」には大きな意味があるというより、貯蓄できる家計に「変わる」ことが第一義になります。

ノーポリ家計になると、ちょっと話は変わってきます。とりあえず貯蓄はできているので、同じ先取り貯蓄でも、「いくら」貯蓄したらよいかをより意識するといいでしょう。この場合、将来のライフプランを検討し、逆算的に貯蓄計画を立てることはとても有効です。“未来を見据えて”といった表現だとより前向きでいいかもしれません。

ちなみに、ノーポリ家計とメリハリ家計の違いは、貯蓄の多寡で決まるものではありません。いくらたくさん貯蓄できていたとしても、心配性でお金を貯めこんでいるのであれば、やはり“健全な家計”とはいえません。金額よりも、お金を動かす自分自身の納得感、安心感にいかにつながっているかがポイントになります。お金は貯めればいいものではありません。きちんと使ってこそ、その価値が生かされるというもの。これではメリハリのある家計とはいえないワケです。
 

支出額は割合と金額どちらで管理する?

さらに付け加えていうと、ノーポリ家計になると「食費は収入の〇%」といった割合で管理する手法はおすすめしません。理由は簡単。収入が増えるほど、支出も増えてしまうからです。収入に合わせた生活は、お金に振り回されます。主導権は人間が握りましょう。収入が減った時に、すぐにストレスを感じやすいのも、比率管理している場合です。自分たちの生活をどう過ごすかが大事なので、比率ではなく、「絶対額」で考えることをオススメします。

逆にいうと、マイナス家計やトントン家計では、割合で管理することが効果的な場合もあります。プラス家計に持っていけない理由がどこかに存在するはずなのですが、どこから手をつけて家計を見直していいのか分からないときには、目安になるでしょう。ただし、貯蓄体質になったら(ノーポリ家計になったら)、割合管理からの卒業を目指してほしいなと思います。

メリハリ家計やしあわせ家計における先取り貯蓄の意味は、いい意味であまりありません。この家計の方々にとっての先取り貯蓄は、単なる“仕組み”です。

そもそも先取り貯蓄をしなくとも、「お金の使い方」にしっかりとした価値基準を持っているので、“残りでやりくり”という発想も薄いでしょう。先取り貯蓄は、あくまでお金の流れの整理整頓する道具なのです。もちろん家計を割合管理もしていません。絶対額管理のステージです。

さて、皆さんの家計はどのステージでしょうか? あらためて、「先取り貯蓄」の意義を考えてみてはいかがでしょうか。


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