社会ニュース

人に説明できますか? TPPのおさらい!

ニュースで取り沙汰されている農作物以外にも、様々な領域に影響をもたらすTPP。今回の参院選でも争点のひとつとなるこの協定。どのようなものか、基礎的な知識を紹介します。

執筆者:All About 編集部

TPP

農作物以外にも、さまざまな領域に影響をもたらすTPP

TPPの正式名称は“Trans-Pacific Partnership”。環太平洋地域による経済連携協定(EPA)という意味で“Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement”とも言われる。もともとシンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリの4か国による「パシフィック・フォー」にアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが加わり、今年に入ってから安倍首相が「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」として、TPPをめぐる交渉に参加しています。

もっとも大きな注目点は「参加国間の関税撤廃」。現在協議されている21部門のうち「物品市場アクセス(作業部会として農業、繊維、衣料品、工業)」が取り上げられることが多いのですが、他にもサービスや環境、知的財産権など多岐に渡っています。
日本国内での対立軸としてよく挙げられるのが、TPPに参加して売上増を期待する賛成派の「工業」と、安い作物などが入ってきてダメージを受けそうだという反対派「農業」です。

例えば工業製品では日本の自動車や電気製品など、輸出型産業にとってのメリットはあるしょう。現在かかっている関税がなければ、その分だけ国外のライバル産業との競争力があがります。いっぽうで農業のように内需・輸入型産業の場合、諸外国から安い食べ物が入ってくると苦しくなる。ここについての具体的な方針が知りたいところです。
各国のやり方の分だけある、煩雑な貿易の手続きもルール化してしまえば、モノの行き来はラクになるでしょうし、モノだけではなくビザの扱いが変われば人の行き来もしやすくなる。

もっとも「聖域なき関税撤廃が前提ではない」以上、仮にTPPに参加することになっても、自動車のような輸出産業がすぐさま売上増となるか、もしくは安いコメが入ってきて、農家がダメージを受けるかは未知数です。まだ何も決まっていませんし、例えばコメにしても日本人が好む食味のものが安定的に作られるのかもわかりません。仮に工業製品の輸出のため、いくつかの農作物で関税が撤廃されたなら、当然農家に対する補助金政策も打ち出されるでしょう。

ちなみに農業以外にもTPPでは「知的財産」分野などでは海外ではびこる日本のコンテンツの海賊版などにも効力が及びますし、金融商品などでも新たなサービスが登場するかもしれません。現在行われているのは、あくまでTPPという枠組みに参加するかしないかも含めた「交渉」です。

政府与党はじめ、各党にはTPPにどういう姿勢でのぞむのか、そのスタンスを明らかにしてほしいところです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます