進化する新築マンションの「エコと構造」
ここ1~2年、もっとも進化した新築マンションの商品企画のひとつが「エコと構造」。きっかけは東日本大震災である。エコブームに電力不足が拍車を掛け、新築マンションの関連設備は改良に拍車がかかった。同様に、構造面でも地震の揺れに対してより安全性の高い手法が積極的に選択されるようになった。免震構造などの進化バージョンも次々と発表されている。「トライスタータワーが選んだ構造」参照。先ごろ記者発表会が行われた「パークホームズLaLa新三郷」もそのひとつ。「パークホームズLaLa新三郷」の新構法「架構集約型免震構造」
「パークホームズLaLa新三郷」記者発表会の様子
構造では、新構法「架構集約型免震構造」を採用。これは、建物の基礎と地盤を切り離し、その間に積層ゴムなど(アイソレーター)を組み込むことで地震の横揺れを低減する免震構造に、建物の骨格を改良した三井住友建設の独自の新構法である。
建物は19階建て。通常、その程度の高さにもなれば、ラーメン構造で建設されるが、免震構造ならではの柱と梁の軽減できるメリットを生かし、バルコニー面の梁を一部なくすとともに、戸境壁を分厚くすることで住空間の内部に出っ張る梁を一切消すことに成功したのである。上にも下にも梁がないバルコニー(一部)からの眺めは、ストレスなく開放的である。
「初モノ」ならではの注意点
最新設備の導入では、暮らしを快適に、地球にも優しく、そして家計の負担を減らすというプラス効果だけがことさら強調される。しかし、冷静に考えてみよう。太陽光発電や蓄電池の設備としての寿命はどれくらいあるのだろう。メンテナンスに必要な技術は誰が持ち合わせているのだろう。それによって、管理組合が用意すべきコストや提携先が拘束されたりするといったことはないのだろうか。構造はさらに専門的だ。「新しい」「初の」と付くだけで、それは凄い! と圧倒されそうになるわけだが、果たして住む人にとってその新技術は何がうれしいのか。「揺れが抑えられる」なら、耐震構造と比べてどれくらい加速力が減るのか。梁がなくなるのはありがたいがコスト面はどうか。一般的な工法にくらべ上がった(または下がった)建築費はマンション価格に反映されたのかどうか。そう考えれば、確認すべきことは山ほどあるはずだ。
キーワードは「耐久性」と「メンテナンス」。その意味では設備と構造(とくに免震、制震)はやはり留意点が多い。優れた技術であればあるほど、その恩恵にどっぷり授かるためにも、いずれ訪れる課題に対する答えを買う前から想定しておきたい。(掲載画像のうち、モデルルーム2点は三井不動産レジデンシャル提供)
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