野川由美子さんが演じる、女版寅さんのような作品
今東光の小説、河内カルメンを映画化した作品です。治安の良くない、貧しい家に育った露子は、色気のある美人。
ある時集団に強姦されてしまいます。家に帰ってみれば、母が坊主と密会中。
もう嫌だ!と大阪に飛び出してきました。
たくさんの男と関係を持ちながら、キャバレー、モデル、金貸しの妾と渡り歩き、とうとうひと財産築いた露子。実家へ帰ります。
妹まで手ごめにしようとしていた坊主を始末し、颯爽と、大阪の街へ戻ります。
貧しく複雑な家庭環境に生まれ、その美しさから、女性が受けうるさまざまな困難に見舞われながらも希望を捨てず、強く強く生きていく女、露子。
60年代の映画にしてはめずらしい、気取らない美人なヒロイン役を野川由美子が好演しています。
60年代のおしゃれ、ヘアメイクもすごく似合っていました。
最初から最後まで一貫して支えてくれるような人も居ないのに、どうしてあんなに気丈に人生を生きる事ができるのか。
大阪の風土、独特の雰囲気が、そうした疑問を吹き飛ばしているような気がします。
露子はまさに都会の花、でした。
ともすれば悲劇の女の一生ですが、露子の気丈さ、コミカルなやりとりがそうさせません。
コメディーのようで面白いけれど、文学作品らしさもある。
女版の寅さんのような、男は辛いよ、のような感じでした。
■河内カルメン
監督:鈴木清順
主演:野川由美子
DVD販売元:日活