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ハッタリと運で人生を切り開く「ニッポン無責任時代」

クレージーキャッツの植木等のキャラクターと、脚本家が以前から温めていた「無責任社員」というアイデアが見事な融和を果たして誕生したサラリーマン喜劇。「無責任男」は多くの支持を得て30作も制作され、社会現象にまでなりました。挫折しながらもハッタリと運で、人生を切り開いていく姿は、世知辛い現代にこそふさわしい作品です。ダーティーな作品になりかねない作品ですが、一級の娯楽喜劇に仕上がっています。

投稿記事

無責任シリーズの記念すべき第1作目

■監督
古澤憲吾
■主演
クレージーキャッツ
■DVD発売元
東宝

多くの人が植木等と言えば「無責任」と即答出来るほど有名な「無責任男」シリーズ。
その第1弾が本作「ニッポン無責任時代」です。

クレージーキャッツの大ヒット曲「スーダラ節」でスターダムに昇りつめた植木等のキャラクターと、脚本家の田波靖男が以前から温めていた「無責任社員」というアイデアが見事な融和を果たして誕生したサラリーマン喜劇。サラリーマンは事なかれ主義で没個性というステレオタイプを覆す、アナーキーで個人主義を貫く「無責任男」は多くの支持を得て、1971年の『日本一のショック男』まで30作も制作され、社会現象にまでなりました。

植木等演じる無職の男・平等は、仕入れた会社の乗っ取り話を利用して太平洋酒の総務部に入社。
C調に立ち回り、速攻で係長に出世します。
その後も、お色気作戦で売買契約を結んだり、公金横領の責任を追求されクビになったりと、畳み掛けるような展開で全く飽きさせません。そして、多くのサラリーマンの夢を体現したラストシーン。北海物産の社長となった平等は太平洋酒の社長秘書・愛子と結婚を、これまたC調に宣言するのでした。

挫折しながらもハッタリと運で、人生を切り開いていく平等。世知辛い現代にこそふさわしい作品だと思います。それを抜きにしても、普通に制作すると、ダーティーな作品になりかねない本作を、一級の娯楽喜劇に仕上げているスタッフとキャストには敬服するばかりです。

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