フランスが置かれた状況や植民地支配に対する人々の考えが垣間見れる映画
『小さな兵隊』
■監督ジャン=リュック・ゴダール
■主演
ミシェル・シュボール
アンナ・カリーナ
■DVD発売元
ジェネオン・ユニバーサル
■おすすめの理由
フランスのヌーヴェル・ヴァーグを代表するジャン=リュック・ゴダール監督が「勝手にしやがれ」に続いて手がけた長編第2弾の作品です。のちに妻となるアンナ・カリーナを初めてヒロインに起用した作品でもあります。
時代はアルジェリア戦争(1954~1962年)さなか。報道カメラマンのブリュノ(ミシェル・シュボール)はジュネーヴでの仕事を終え、友人の紹介でヴェロニカ(アンナ・カリーナ)と出会います。ブリュノはフランスの極右組織のOAS(秘密軍事組織のエージェント)の顔も持っていました。ある危険人物の暗殺命令を下された彼はOASから逃げ、ヴェロニカと逃亡することに。しかしヴェロニカは敵対組織・アルジェリア民族解放戦線(FLN)のエージェントでした……。
戦争映画といえど、戦場での攻防が出てくるわけではありません。アルジェリア戦争はフランスからアルジェリアが独立しようとした戦い。戦場はアルジェリアです。しかし、この作品は中立の国、スイス・ジュネーブの土地でもひそかに行われていた戦いの陰謀を描き出しています。
当時の政権に対する明確な批判を含み、実在するOASとFLNという両組織を実名で扱った本作は、1962年3月のアルジェリアの独立による停戦、また同年6月の両組織の停戦からさらに半年を待たないと公開ができませんでした。
当時のフランスが置かれた状況や植民地支配に対する人々の考えが垣間見れる、貴重な戦争映画だと思います。