独裁者への反抗の烽火も喜劇王の笑いにつつまれる
■監督チャールズ・チャップリン
■主演
チャールズ・チャップリン
邦題は「チャップリンの独裁者」ですが、原題を直訳すれば、「偉大なる独裁者」。
その題名にこそ、チャールズ・チャップリンの痛烈な皮肉がこめられている気がします。
映画の舞台は1918年の第一次大戦末期。舞台はトメニアという架空の地。
そこで独裁をふるう男の名はアデノイド・ヒンケルですが、そのちょび髭、ちいさな体を大きく見せようと不自然にそらした歩き方から、誰をさしているかは明らかですよね。
1940年にヒットラーのナチスが、ドイツで世界をわが手にしようと動きだしたとき、それを批判し、「自由」のために闘うことを呼びかけるためにつくられた作品です。日本に公開されたのは戦後の60年代ですから、これも60年代作品として紹介させて頂きます。
反戦映画とはいえそこは「喜劇王」ですから、独裁者への反抗の烽火も笑いにつつまれたものです。
特に、チャップリンが映画の中でヒンケル総督の演説の真似をするシーン。
パロディでもよく使われているシーンですが、滑稽以外の何物でもない。
戦争当時、ヒットラーの演説の魔力に皆酔ったといいますが、見方をかえればただの滑稽なちょび髭おやじで、なんの説得力もない。
チャップリンはこの映画で独裁者を笑いのめすことで、それを伝えたかったのかもしれません。
笑いこそ我が武器。喜劇王の面目躍如のこの作品、どうぞお楽しみください。