恋愛映画の王道な展開が描かれている名作
■監督ロバート・ワイズ
■主演
ジュリー・アンドリュース、クリストファー・プラマー
この「サウンド・オブ・ミュージック」をミュージカル映画や反戦映画として推す方は多いでしょうが、
わたしはあえて恋愛映画としておすすめします。それも王道の。
根拠をあげてみましょうか。
妻に先立たれ、残された子供たちにどうせっしてよいか分からず、唯一知っている軍隊仕込みの教育で一家をどうにか統率しようとする、不器用な男。そこに彼とは正反対の、歌が好き楽しいことが大好きなという女が住み込みの家庭教師としてやってくる。
違いすぎるから反発するふたり。
おもしろがり、またはハラハラしながらふたりを見つめる周囲のひとびと。
女が男にほのかな恋心をもっている自分に気づいたとたん、もちあがる再婚話。
傷心の女は逃げるようにして一家から去っていくが……。
ほうらもう、王道というしかない、じれじれな展開ですよね。さらには戻ってきた女を自分もまた愛していると自覚した後、囁くように歌う男のとろけそうな表情ときたらもう。
また、男の再婚相手候補で、主人公にちくりちくりといやがらせをしていた女性も、
自分の負けを認めたあとの潔さ、去っていく後ろ姿の美しさにしびれます。
アルプスの雄大な自然や、誰でも一度はきいたことのある劇中歌の数々もさることながら、
王道の恋愛映画として、この作品をいちどご覧になってはいかがでしょうか。