全盛期のオードリーが魅せるミュージカル映画
『マイ・フェア・レディ』
■監督ジョージ・キューカー
■主演
オードリー・ヘプバーン
マイ・フェア・レディ。僕の運命のひと。
自分の好みの女を一からつくりあげる、日本で言うならば1000年も前に光源氏がやったような。
永遠の妖精オードリー・ヘップバーン主演のこの映画は、あまりにも有名ですが、簡単にご紹介するとこうなります。
夜のロンドンの下町で花を売っていた少女イライザ。偶然であったヘンリー・ヒギンズ教授は、
彼女のあまりにもひどい訛りに驚き、正しい発声と淑女としての行儀を身につけさせてみると宣言してしまう。
デビュー作の「ローマの休日」でまさに王女というしかない気品にあふれたオードリーが、顔を炭でよごしてはすっぱな騒がしいだけの女で登場したその冒頭のシーンには、度肝をぬかれました。
さらに言えば、ヒギンズ教授の話し方は特権意識がもろにでた鼻もちならないもので、そんな人間から習って「レディ」になれるものかと、そこまでおっしゃるあなた何様ですか? と言いたくなりましたが、そこはオードリー。美しかった。
そう。自分で育てた紫の上に翻弄される光源氏のように、美しくなったイライザに惚れてしまったくせに、持前のプライドでそれを素直に表せない愚かな男ヒギンズ教授。そのやきもきする姿に、ざまみろと思ったのは、わたしです。
そんなひねくれた見方をしてもよし。全盛期のオードリー・ヘップバーンの魅力を堪能するもよし。
彼女が華麗にまとう60年代のハイファッションに目を躍らせるもよし。マイ・フェア・レディはそんな風にいろんな楽しみ方のできる、お勧めの恋愛映画です。