醤油の歴史
醤油
室町時代、京都や堺あたりが主な産地だったようで、当時は関西風の薄口醤油が主でしたが、江戸時代になってから濃い口醤油が作られるようになり、多くの人々に広まっていったようです。
醤油の種類
1963年に制定されたJASでは、本醸造、混合醸造、混合の3つの製造方式により、製造方法、原料、特徴などから「濃口」「薄口」「たまり」「再仕込み」「しろ」の5種類に分類されています。醤油の原料は大豆、小麦、塩で、大豆と小麦から麹を作り、出来た麹と塩水を混ぜ合わせてもろみを作ります。このもろみを発酵させる事により、麹菌、酵母菌、乳酸菌が働いてゆっくりと熟成されます。
このもろみを布に包んで絞ったものが生醤油と呼ばれるもので、生醤油は保存が難しいので、加熱により殺菌をし、色、味、香りを調えるために火入れをします。これが天然醸造醤油と言われるものです。
薄口醤油という呼び名と見た目から、一番塩分が少なそうに感じますが、実際は最も塩分が高く、勘違いされてしまう傾向にあります。
調理のコツ
実は、醤油は、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「旨味」が五味一体となったミラクルな複合調味料なのです。それぞれの絶妙なバランスが素材の味を引き立てて、風味と旨味の際立つ豊かな一品へと導いてくれます。また旨味を強く感じる理由として、発酵調味料の特徴であるアミノ酸の1種、旨味成分のグルタミン酸が豊富に含まれています。また、グルタミン酸以外にも20種類のアミノ酸が含まれているため、後味に旨味の余韻を強く感じる事が出来るのです。
またグルタミン酸は動物性の旨味成分のイノシン酸と一緒にとることによって、相乗効果により、旨味が何倍にも膨れ上がると言われています。ですので、肉や魚に一振りしただけでも美味しい理由がここにあります。
今、海外でも醤油が旨味を引き出す、隠し味としても注目されつつあります。イタリアなどでも、ラザニアやグラタン、トマトソースなどに使われていたり、フランスの星のあるレストランでも、ソースの隠し味に醤油が使われていたりと和食だけではなく洋食との相性も良く、幅広く使われているようです。
発酵食品との相性も良いので、是非、合わせてみてください。また醤油には300種類の香りと味が含まれていると言われていますので、五味に加えて、アロマ効果が加わり、魅了されてやまない調味料になっていることと思います。ただ、醤油は香りが飛びやすいので、2回に分けて使用することをおすすめします。少し薄味に仕上げて、火を止める瞬間に1振り加えて塩味と香りをプラスすることによって「旨味づけ」「香りづけ」の効果が期待できると思います。