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鈴鹿8耐はなぜ魅力的なのか? 回帰するライダーたち

鈴鹿8耐に往年の名ライダー達の電撃カムバックが相次ぐ「鈴鹿8耐」。2013年はなんとケビン・シュワンツがライダーとして8耐に参戦することが決定。なぜ8耐は引退したライダーたちをまたサーキットに引き戻すのか? その魅力に迫る。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

36回目の8耐にシュワンツが電撃復帰!

多くの日本人が憧れた往年の名ライダー、ケビン・シュワンツが「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」に帰ってくる。ゲスト出演のVIPではなく、8時間を闘うライダーとして。
シュワンツ

ケビン・シュワンツ / 米国テキサス州出身。AMAスーパーバイクのトップライダーから世界GP500ccクラスのトップライダーに成長。93年にGP500ワールドチャンピオンを獲得。米国人のライバル、ウェイン・レイニーとの死闘に80年代から90年代の若者が熱狂した。 
【写真提供: MOBILITYLAND】


嘘のような本当の話がこの夏、現実になる。シュワンツが最後に鈴鹿8耐を走ったのは1992年。あれから21年の月日が過ぎ、彼が最後に鈴鹿でレースをした1995年のWGP日本グランプリ開催からも既に18年の時が経った。その時、ケビン・シュワンツがまた鈴鹿8耐を走る日を予想できた人は居ただろうか?

シュワンツは今年、2007年の鈴鹿8耐ウイナーで全日本ロードレース選手権のトップライダー、加賀山就臣(かがやま・ゆきお)のチーム「TEAM KAGAYAMA」からスズキGSX-R1000で鈴鹿8耐に参戦する。シュワンツは過去に6回、スズキのマシンに乗って出場し、3度の表彰台経験を持つが、8耐優勝は一度も無い。
加賀山

シュワンツが共に闘うTEAM KAGAYAMA。スーパーバイク世界選手権の活躍でヨーロッパで高い人気を誇る加賀山就臣(かがやま・ゆきお)と芳賀紀行(はが・のりゆき)と3人体制を組む。
【写真提供:MOBILITYLAND】


現役引退から18年、7月のレースウィークには49歳になっているシュワンツの心を突き動かしたのは鈴鹿サーキットのファンの声援だった。昨年3月、彼は50周年を迎えた鈴鹿サーキットのイベント「ファン感謝デー」にゲストとして招かれ、トークショーなどに出演。その時、すでに過去の名選手だった彼を日本のファン達は温かく迎え入れ、現役当時と変わらない羨望の眼差しでトークショーに聞き入っていた。その姿に感激したシュワンツは古巣「ヨシムラ」の現役マシンに乗り、すっかりその気になってしまったようだ。事実、昨年の鈴鹿8耐のプログラムに掲載されたインタビューでも「機会があれば、もちろん僕も優勝を狙う一人として出場したい」と堂々と語っていた。他の名ライダーたちが「真夏の開催でなければ考えるよ」とジョークを交えてかわす中、シュワンツだけは本気になっていた。
シュワンツ

トークショーに出演したシュワンツ 【写真提供:MOBILITYLAND】


母国アメリカのトップレース、「AMAスーパーバイク」で優勝を何度も飾り、「世界グランプリ」当時の最高峰「500ccクラス」でも93年にワールドチャンピオンを勝ち取った男が唯一果たせなかった夢。それが鈴鹿8耐の優勝なのである。
シュワンツ

1992年スズキワークスで8耐を走った時のケビン・シュワンツ。8耐は結局この年限りで優勝は無かった。
【写真提供:MOBILITYLAND】


現在も自身で運営するスクールの講師としてビッグバイクに日々乗っており、現役当時と変わらないスリムなシェイプを維持するシュワンツだが、何せ年齢が49歳。しかも、8耐は20年前に比べるとバイクの排気量は750ccから1000ccへとアップし、今や耐久レースとは呼べないほどにスプリントレース化してしまっている。さらに近年の最高気温は35度を超え、路面温度は60度を超える。そう、20年前とは話が全く違う、さらに過酷さがレベルアップしたレースになっているのだ。それでもシュワンツはそれを覚悟の上で鈴鹿8耐に本気で挑む。

単に「その気になって」という理由だけで簡単に決断できることではないはずだ。過酷さを理解した上でも「どうしても優勝したい!」という気持ちを抑えられなくなったのだ。

なぜにここまで鈴鹿8耐は往年の名ライダーの心を突き動かすのだろう? 今回はその理由を探ってみよう。

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