私の年収ならば、大丈夫って言われましたが、不安で…。
自分にぴったりのマンションは、自分予算で購入したい
A子さん:住宅ローンは35年でしたが、あと35年も働かないし、仕事を辞めたらどうなるのかなぁと思うと不安です。
ガイド:働いている間に完済できるのが理想ですが、返済期間が短くなると返済額が高くなったり、借入額が少なったり。いずれにせよ、A子さんが安心できる資金計画でないと、購入後の楽しいはずの暮らしがそうでなくなってしまいます。
ガイド「資金計画は、どのようなプランニングですか?」
A子さん:現在の家賃が10万円なので、10万円の住宅ローンならば払えます。
ガイド:例えば、3000万円を35年間、金利2%の固定で借入れると、毎月返済は約10万円です。マンションだと、この金額に管理費、修繕積立金、固定資産税等の税金の支払いも上乗せされます。3000万円の借入だったとしても、毎月の支払は10万円を超えてしまいます。
A子さん:販売センターでつくってもらった試算表では、住宅ローン、管理費、修繕積立金を含めて、約10万円でいける計算でした。ほら、これがそうです。
ガイド:なるほど。変動金利のタイプですね。
変動金利って何ですか?
ガイド:住宅ローンを借入れる際に約束する金利のタイプです。変動金利と固定金利の2種類があって、変動金利は、世間の金利水準に応じて定期的に金利が見直されます。一方の固定金利は、当初に約束した金利が完済まで固定されます。固定される期間が長ければ長いほど、金利が高い傾向にあります。ガイド「販売センターで、話を聞きませんでしたか?」
A子さん:記憶はないけれど、聞いていたかもしれません。
ガイド:自分のことも、経済のことも、金利のことも、将来を予測することは難しいのですが、住宅ローンを20年、30年と長期で借入れる場合は、これらの変動リスクを背負うので、注意が必要です。想像できることをすべて盛り込んで数パターンのシミュレーションしてみると、比較的安心です。将来やりたいことや行きたいところなど、A子さんの夢や希望はどのようなものですか。
変動金利を利用する場合、今は低金利だけど、将来金利が上昇したらどうなるのか。転職したり、結婚したり、退職したり、するとどうなるのか、資金計画の主役は自分なので、キャリアプランニングやライフプランニングと一緒に、自分の生き方や暮らし方を考えることが大切です。
ガイド「購入予算は家計の把握がポイント。家計簿は付けていますか?」
A子さん:いいえ。毎月の給料を気にせず使っています。
ガイド:貯金はできていますか。
A子さん:わかりません。でも、先輩に勧められた財形貯蓄がいくらかあるはずです。
ガイド:財形貯蓄があるはずなのですね。マンション購入にあたっては、初期コストが必要です。頭金や購入時の諸費用は、A子さんの預貯金から出すことになるので、手元のお金を確認しておく必要があります。
A子さん:わかりました。さきほどの話では、住宅ローン返済に加えて、管理費や修繕積立金、税金の支払いもあるのですね。
ガイド:ランニングコストの金額は、さきほどの試算表にも載っていますね。注意点を二つお伝えします。一つ目は、管理費や修繕積立金は、将来増額の予定があること。二つ目は、これらのランニングコストには、住宅ローンのように完済すれば終わり、ということはなく、住んでいる限り、所有している限り、発生するということです。
A子さん:増額される時期に給料も増えていないと、生活が苦しくなりますね。
ガイド:その可能性もありますね。ランニングコストが上昇しても、金利が上昇しても、余裕のある返済計画を当初から組み立てておくと安心です。そのためには、家計収支の把握です。
ガイド「収支(=収入-支出)の把握をしてください」
ガイド:購入後は家賃8万円の支払いがなくなるので、8万円が収支にまわります。収支が8万円あるからと、8万円の住宅ローンは組めません。先ほどお話しししたとおり、ランニングコストとその上昇分、変動金利の場合の金利の上昇分、予備費などを収支から確保する必要があります。8万円+アルファがあって、はじめて8万円の住宅ローンが組めるのです。
次のページで、A子さんへの提案のまとめです。