ルーツをたどれば世界各地 16世紀、英国貴婦人のステイタスだった?

「貴婦人のキルト」undefined1680-1700年イングランド。大変貴重な布を使ってパッチワークやアップリケした見事な作品。大変な時間を掛けて制作されたと思われる。188×162.5cm (Ron  Simpson所有)

「貴婦人のキルト」 1680-1700年イングランド。大変貴重な布を使ってパッチワークやアップリケした見事な作品。大変な時間を掛けて制作されたと思われる。188×162.5cm (Ron Simpson所有)

パッチワークキルトはアメリカ生まれの手芸と思っている方が多いと思いますが、実際には新大陸にヨーロッパから人々が入植するずっと前からあったものです。布が存在する場所には必ず端切れを生かす智恵があるわけで、遥か昔から布の産地だったインドや中国にはごく自然な形でパッチワークが作られていました(次元が違うかもしれませんが、お釈迦様が纏っていた糞掃衣と呼ばれる衣もぼろきれを継ぎ合わせたものでした)。

現在、私たちが目にするパッチワークのスタイルは英国が始まりでした。1600年にイギリスが東インド会社を設立しアジアから美しい布がヨーロッパに入るようになるとそれらを競って求めたのは富裕な人々。主に服やインテリアに生かしましたが、誰も持っていないような珍しい布を何種類も集めてパッチワークにしたのが貴婦人たち。

当時、富裕な夫人たちが有り余る時間を過ごすための手遊びとして刺繍などの手芸をたしなんでしましたが、パッチワークは17世紀の最先端の流行として上流の女性の間に広まりました。出来上がった作を屋敷に飾っては客人に見せることがステイタスだったわけです。

これらのパッチワークは実用とは無縁の贅沢品でしたから、現在のキルトのように綿をはさんだキルティングなどされておらずごく薄いものでした。もちろん現存は難しく多くは残っていませんが、貴族の館の屋根裏に眠っていたり家族が大切に保管していた特別の品が残されていることがあります。