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柏、急速に発展した東葛地域の商業の中心地

大正時代の北総鉄道(現・東武野田線)開通以降、飛躍的に発展した街、柏。全国に先駆けて不燃化、駅前再開発に取り組み、現在ではこのエリアの商業の中心地として多くの人を集めています。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

発展のきっかけは駅の開業、
日本初のペデストリアンデッキで有名に

JR柏駅

上野駅まで特快利用で23分と便利な常磐線だが、2014年度中には東京駅までの延伸も予定されており、さらに便利になるはず(クリックで拡大)

水戸街道沿いにありながら、江戸、明治時代にはさほど大きな街ではなかった柏が大きく発展を遂げる契機になったのは1896年(明治29年)の日本鉄道土浦線に始まる複数の鉄道路線の開業でした。当時の鉄道会社のほとんどは他の会社になっていますが、路線自体は現在の東武野田線、JR常磐線などとなっており、これらの開業が東葛エリアの交通の結節点としての柏の存在意義を高めることになります。

 

東武野田線柏駅

大宮駅から柏を経由して船橋を結ぶ東武野田線。北総鉄道、新京成線、つくばエクスプレスなどと交差する(クリックで拡大)

ちなみに東葛エリアとは「東葛飾」の略。もともとは明治時代の行政区画東葛飾郡に属していた市町村のうち、千葉県内の野田市、流山市、柏市、我孫子市、松戸市、鎌ヶ谷市、市川市、船橋市、浦安市のことを指し、現在はそのうちの市川市、船橋市、浦安市を除いた6市を指すとされています。千葉県の中心地である千葉市よりも東京に近く、独自の文化圏を持つエリアと解すれば良いでしょう。

 

ペデストリアンデッキ

駅周辺のビルをつなぐ広々としたペデストリアンデッキ。ストリートミュージシャンの演奏の場として、祭りの舞台として地元で親しまれている(クリックで拡大)

柏駅開業後は駅を中心に市街地が形成され、1960年以降は東京の通勤圏内にある住宅街として人口が急増します。さらにその人口増を背景に1970年代には商業施設の進出が相次ぎ、街は大きく変化します。ことに1978年(昭和48年)には駅東口に日本初のペデストリアンデッキ(通称はダブルデッキ)が登場、さらに同月にはそごう、翌月には西口に高島屋と開業が相次いでニュースとなり、この街の変化が広く印象づけられることになります。駅周辺の再開発自体は1970年代の初めに始まったものですが、それがこの時点にほぼ終了、駅周辺全体が生まれ変わったのです。

 

ストリートミュージシャン、
古着屋さんなどもこの街の名物

ストリートミュージシャン登録の告知

登録しているミュージシャンの数は数百人以上。ロック、ジャズ、クラシックから民俗音楽その他とジャンルは幅広い(クリックで拡大)

では、実際の街の様子を見てみましょう。まずは駅の東側。なんといっても印象的なのは駅周辺のビルをつなぐペデストリアンデッキ。ここはストリートミュージシャンの街として知られる柏を象徴する場所でもあり、メジャーデビューを果たした人も少なくありません。現在はストリートミュージシャンと街が共存していけるようにと、ミュージシャンの登録制を取っており、登録は柏市民以外でもOKとのこと。音楽のジャンル、年代も幅広い人たちが登録しているそうで、駅前のかしわインフォメーションセンターで受け付けが行われています。

 

柏二番街

駅周辺の商店街を歩いていて気づくのは、街行く人の年代が若いということ。写真はアーケードのある二番街(クリックで拡大)

そのダブルデッキから旧水戸街道までの間には大型商業施設やスーパーなどが集中しており、その間にハウディモールや柏二番街商店街などといった商店街が伸び、様々な業種の店舗が並びます。さらに旧水戸街道沿いやそれを越えたあたりにも複数の商店街、飲食店が並ぶ通りなどもあり、駅から数百mに渡って断続的に商業エリアが続いてます。中には歴史を感じさせる呉服店や肉屋、地元資本のスーパーもあり、決して大型店だけの街ではありません。また、一部には風俗営業などを含む飲食店街もあり、街の多様さが実感できます。

 

柏神社

地元では天王様と親しまれる柏神社。正面左側の柏銀座商店街沿い、そこから伸る路地沿いに小規模な店舗が集まる(クリックで拡大)

旧水戸街道沿いに周囲とは一線を画す雰囲気を漂わせているのは柏神社。樹齢300年を超える銀杏の巨木が聳えるこの神社は京都祇園の八坂神社、山形県出羽三山の羽黒神社を合祀したもので、1660年以降にこの地に迎えられらたと伝えられています。この神社が有名なのは存在そのものに加え、この神社の裏手辺りの古着やアクセサリーなどを売る小さなショップが点在、原宿の裏手の裏原になぞらえて裏柏と呼ばれていることからです。実際には飲食店やスナックなども多く、路地をぶらぶらする楽しみも味わえる場所で、若い人を中心に賑わっています。

 

バス停

企業が運行するバスが発着する乗り場。病院、温泉施設、ショッピングセンターなど行先は様々(クリックで拡大)

もうひとつ、東口で目についたのはバスターミナル。柏エリアではバス便利用の住宅街が多いのに加え、病院、ショッピングセンター、スーパー銭湯など、駅から離れた施設も多く、そうした施設行きのバスが数多く発着しているのです。駅を起点に移動しやすい街というわけです。

 
ラーメン店の行列

西口のあさひ通り商店街で見つけたラーメン店の行列。ここに限らず、いくつかの店舗で見かけた(クリックで拡大)

また、かねてから聞いてはいましたが、ラーメン屋さんも多く、あちこちには行列も。飲食店ではインド料理屋さんも目につきました。若い女性に聞いたところ、最近はしゃれたフレンチ、イタリアン、野菜料理店なども増えているそうです。

 
西口側

西口には高島屋、ホテル、オフィスが並び、水戸街道が走る。水戸街道以遠は一戸建て中心の住宅街に(クリックで拡大)

西口は常磐線と平行して走る国道6号までの間に、高島屋とホテル、そしてオフィスビルが点在しており、6号以遠は住宅街。東口側に比べると商業エリアはコンパクトにまとまっています。

 

続いては常磐線、東武野田線柏の住宅事情を見て行きましょう。
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