落語

素顔の落語家 ~柳家わさび篇~(2ページ目)

映画「落語物語」で主演を演じ、今勢いに乗っている柳家わさびさんにお話を伺いました。高座だけでは見えないわさびさんの素顔に迫ります。

中川 悠

執筆者:中川 悠

落語ガイド

Q.さん生師匠に弟子入りした経緯は?

「さん生師匠に惚れたんです」

大学の後半で師匠と出会いまして、師匠の話をそばで聞いていて凄い人だなと思ってすっかり憧れてしまいました。とても冷静な印象があって、この人だったら育ててくれるという絶対的な安心感がありました。その後、鈴本演芸場の楽屋に行き、師匠に「噺家になりたいんです」というと、師匠は「誰の?」と。「師匠の」と言い返すと「よせよ。絶対やめると思うよ。やりたい病になってるんだよ」と言われましたが、若さもあってなんとか認めてもらいました。男が男に惚れたってことですね。

Q.モチベーションのあげ方は?

「"やりたい仕事"があることです」

私の持論ですが、仕事って二つあると思うんです。
手帳を開きお話をするわさびさん

手帳を開きお話をするわさびさん

「お金を稼ぐ仕事」と「やりたい仕事」。「お金を稼ぐ仕事」は周囲にあわせて自分に多少嘘をついてやる仕事で、「やりたい仕事」は自分が気になっていることを素直にやる仕事。本当は一緒になれば一番いいと思いますが、そうもいかない場合もあるかと思います。私の場合は、月に一回、「月刊少年ワサビ」という落語会をやらせてもらっていて、そこで自分がやりたい三題噺(ガイド注:お客さんが出した3つのお題からつくった噺)ををやらせてもらっているので、モチベーションが高い状態を保てています。自分の責任でお客様の前で生の反応を見るわけじゃないですか、特に三題噺は。だから、やんなきゃっていう気持ちが自然と沸き起こってきます。たまにブログで厳しい批評があってヘコむことはありますが。とはいえ、先人の方々が築かれてきたからできる「お金を稼ぐ仕事」は勿論大切。お陰さまで食べていけるんですから。うけた恩恵を何かしらの形で返せたら幸いです。
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