一人のフランスのデザイナーが熱い思いを込めた織物サンプル帳を抱えて来日しました。彼女の名前は、Sylvie Johnson(シルビィー・ジョンソン)。フランスのパリの6区サンジェルマン・デュプレに事務所を構えるテキスタイルデザイナーです。彼女にインタビューをするためにフランス大使館に赴きました。


見たことがない!壮麗なテキスタイル

Sylvie Johnsonのテキスタイル

Sylvie Johnsonのテキスタイル

彼女の作り出すファブリックは、美しさ、優雅さ、それにインテリジェンスを含みその存在そのものが美を極めています。クライアントのためだけに、すべてオリジナルでインテリア用のオートクチュール・テキスタイルをデザインしています。豪華絢爛かと思いきや、とってもモダンでシンプル。素材の豪華さをそのまま閉じ込めた異色の織物です。


Sylvie Johnson(シルビィー・ジョンソン)

デザイナーのSylvie Johnson

Sylvie Johnson

彼女が、サンプル帳をめくりながら、私たちに熱く語るのは、驚くほどの精密さで織り上げられたホースヘア(馬の毛)、細い銅線を染め上げた糸、金糸や銀糸、シルク、繊細な皮革などで作られた超セレブなファブリックです。それは、私たちが見慣れたファブリックではなく、ファイバーの彫刻とも言えそうな立体的で平面を装いながら空間を支配するような、気迫とエネルギーに満ちています。超高価な織物には間違いないようです。



Sylvie Johnson(シルビィー・ジョンソン)は、パリの政治学院を卒業というエリート、異色の経歴を持ちます。率直になぜファブリックデザイナーに、とお聞きすると……! 若い頃からアートと建築に興味があった、そして手作りのものを作る会社を作るのが彼女の夢だったそうです。ファッションのテキスタイルデザイナーの師匠につき1年間修行、ファブリックのノウハウとテクニックを取得。300冊あまりの本を読破したと言います。特にテキスタイルの古い本をコレクション、アンティークのカラーチャートを用いて、古いスピリットを大切にしているそうです。


Sylvie Johnson(シルビィー・ジョンソン)のWORK

モロッコのホテル

モロッコのホテル

写真は、モロッコの王族がオーナーというホテル“Royal Mansour Marrakech(ロイヤル・マンスール・マラケシュ)”の三ツ星フレンチレストランの壁布。銀糸と絹糸を使ったトランスペアレントです。彼女のオーナーからの依頼は、個人の別荘、高級マンション、ヨット、プライベートジェット機などの内装、空港ラウンジやショップのインテリアです。彼女の独特の感受性を理解する実業家たちがオーナーです。




彼女の来日の目的は、日本の建築設計事務所、デザイナーに作品紹介と営業が目的だそうです。日本のシルク、ウールなどの買い付けに何度か来日、日本が大好きだそうです。彼女のシンプルな作品を母国の友達たちが見て、デザインのスピリットはJAPANにある! 日本で営業したらと勧められたと言います。でも、日本には王族も超金持ちもいない、ましてインテリアに莫大なお金を使う風土もない現実を、彼女にうまく説明することが出来ませんでした。彼女の作品を日本で見ることができる時は、連絡をして頂くことでインタビューは終わりました。


Sylvie Johnson(シルビィー・ジョンソン)の事務所があるサンジェルマン・デュプレ界隈には、有名ファブリックブランドのショールームが軒を並べています。ショップの数の多さと豪華さに、ガイドはいつも羨望のため息をつきながら歩きます。しかし、シルビィーに言わせると、そこは普通の人が行くところ。彼女はオーナーのためだけに素材を捜しデザインをする。まさにファブリックのオートチュクールです。フランスだけではなく欧州全般のインテリア、特にファブリックの奥深さには改めて驚かされました。


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Sylvie Johnson(シルビィー・ジョンソン)
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