ジャパニーズ・ホラーの代表作が登場!
ハリウッドのホラー映画は、突然何かが飛び出すような、心臓にアタックしてくる恐怖ですが、日本のホラー映画は、心理を針でつついて、傷口を広げていくような恐怖が得意です。『クロユリ団地』もしかり。『クロユリ団地』を見た人は、「もっと日本のホラーが見たい」、そんな風に思うかもしれません。というわけで、中田監督作品を中心に、本当に怖い日本のホラー映画を紹介したいと思います。『女優霊』(1995年度作品)
新人監督の村井(柳ユーレイ)は、カメラテストの映像に全く違う女性が映っているのを見つけます。そのときから村井の周辺、主にスタジオと撮影現場で奇妙なことが起こり、たびたびフィルムで見た女性が現れるようになり……。
中田秀夫監督のデビュー作。低予算の荒削りな映像が、この映画の恐怖をより際立出せています。霊の見せ方もうまく、見る者の緊張感を煽ります。スタジオなどの撮影現場には、よく幽霊が出るといいますが、この映画を見ると、それもありかも……と思えてしまう。公開時に「夜の上映で見るのは怖すぎる」と噂になった作品で、ハリウッドリメイクもされています。タイトルは『THE JOYUREI 女優霊』。
監督:中田秀夫
出演:柳ユーレイ、白島靖代、石橋けい、根岸季衣、李丹、大杉漣ほか
『リング』(1998年度作品)
新聞記者の浅川(松嶋菜々子)は、謎の死を遂げた親戚のことを調べるうちに、“見たら1週間後に死ぬ”というビデオの存在を知る。彼女は高山(真田宏之)とともに調査を開始しますが、二人ともビデオを見てしまい、命のタイムリミットが。そして浅川が知らない間に、彼女の子供もそのビデオを見てしまい……。
ジャパニーズ・ホラーの名を知らしめた傑作であり、貞子というキャラクターが圧倒的存在感を持って、この映画を堂々と支配しています。クライマックス、画面からズリズリと貞子が出て来るシーンは恐怖の頂点! 続編の『らせん』(飯田譲治監督)貞子の生い立ちを描く『リング0 バースデイ』(鶴田法男監督)なども続けて見ると、より『リング』ワールドを楽しめます。またハリウッドがリメイクしたナオミ・ワッツ主演『ザ・リング』(ゴア・ヴァービンスキー監督)と見比べるのも一考です。
監督:中田秀夫
出演:松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、沼田曜一、雅子、竹内結子ほか
『仄暗い水の底から』(2001年度作品)
離婚調停中の淑美(黒木瞳)は、娘の郁子(菅野莉央)と古いマンションに引っ越して来ます。ここで母娘の新生活が始まったけれど、天井のシミや不気味な物音が気になる淑美。ある日、郁子が屋上で誰かと会話を……。淑美が見てみると、そこには赤い手提げがあるだけだったのです。
中田監督が、再び『リング』の鈴木光司原作を映画化した本作は、ジェニファー・コネリー主演の『ダーク・ウォーター』としてリメイクされました。母性がキーワードになっており、娘を守るために淑美が命をかける、その行動は「泣ける!」と評判になった感動ホラーです。ジトジト降る雨など、湿気を帯びた映像が気味悪い。梅雨時期に見ると不気味さ倍増かも?
監督:中田秀夫
出演:黒木瞳、小日向文世、小木茂光、徳井優、水川あさみ、菅野莉央、小口美澪、谷津勲ほか
そして次ページでは、清水監督と三池監督のホラーも登場!