ブッフェは食べるだけではなく、目でも楽しめるものへ

佐々木明子 アナウンサー、東龍さん

(C)テレビ東京

佐々木さん(以下、佐)
 前回はブッフェの歴史についてとても勉強になりました。今回は、最近のブッフェ事情について教えてください。

東龍さん(以下、東) 最近は“ブッフェをしないホテルがない”といってもいいくらい数が増え、競争も高まっているので、ホテル側も色々な努力をしています。以前は細長いテーブルの上にズラッと料理を並べる形が多かったのですが、最近では多くのホテルが専門の“ブッフェ台”を利用して、よりおいしく見えるよう、立体的にレイアウトしています。作りたての臨場感を感じられるようオープンキッチンで料理をしていたり、料理人が料理を切り分けるパフォーマンスがあったりと、目で楽しめる演出も多いですね。

 たしかに先日旅行でリゾートホテルに泊まったとき、ブッフェのパフォーマンスには私も驚かされました。料理人の方がその場で料理してくれたりもするんですよね。楽しくてやっぱり食べ過ぎちゃいましたけど(笑)。食材にこだわったメニューも多くて、もちろん味でも楽しませていただきました。

 そうなんです。食の安全についての意識が高いユーザも多いので、食材の産地にこだわったブッフェも増えています。地産地消として、自治体が協力するケースもあるようですね。今は、ユーザの目も舌も肥えているので、“安かろう・悪かろう”といわれたらおしまい。ホテル側は絶対に手抜きができないんです。

ブッフェを実施するメリットとは?

東龍さん、佐々木アナウンサー

ブッフェを実施することのメリットを語る東龍さん (C)テレビ東京

 私たちにとってはうれしいことですけど、それではホテル側にあまりメリットがないんじゃないですか? それでも実施するホテルが多いというのは、理由があるんですよね?

 ホテル側にもメリットはあります。まず第一に、客単価を簡単にあげられること。普段は1000円を超えるランチに対して「高い!」と感じるユーザも、ブッフェなら2000円~3000円は納得して支払います。ホテルはコーヒー1杯1000円、カレーライス2000円、というところも少なくないので、多少高くても割安感があるんです。次に、売り上げの計算がしやすいこと。アルコールを追加でオーダーしたりすれば別ですが、ブッフェは一人あたりの価格が決まっているので、単純に来店したお客さんの人数を数えるだけで売上計算ができるんです。また、セルフサービスなので、サービスにかかる人件費も抑えられます。長く続いている不景気の影響もあって、普段は“ホテルで食事をする人”自体があまり多くないんです。お得なブッフェをすることによって新規のユーザーを呼びこむことができるというのもメリットですね。

 なるほど、ユーザーを獲得するためのいい宣伝になるんですね。確かに仕組みは分かりました。でも、産地にこだわった素材を提供していれば材料費もかさみそうだし、人を使ってパフォーマンスをしていたら、人件費のカットも難しそうですよね。

 おっしゃる通り、理論的には正しくても、短期的には利益が出にくいようです。とはいえ、努力してユーザを満足させることができれば、リピーターが生まれます。数カ月ごとにメニューをガラリと変えて、旬の食材を使った“カニフェア”、ご当地料理を出す“沖縄フェア”“ニュージーランドフェア”などを開催するホテルが多いのは、リピーターに「メニューが違うならまた行ってみようかな」と思わせるためでもあるんです。

 「おいしかった」といういい印象があって、さらにメニューが変わると思えば、自然と足が向いてしまいそうです。でも、メニューを変えるのもホテル側にとって大変なことですね(苦笑)。
東 確かに大変だと思います。でも、ホテルの方に聞いてみると、定期的にメニューを変えることで、料理人の方たちのモチベーションが上がるんだそうです。どのフェアはユーザーの反応が良かったとか、自信作なのにあまり受けない料理があったとか、ブッフェはユーザーの反応がダイレクトに分かるので、やりがいにつながるみたいです。
 作り手の方もブッフェを楽しんでいらっしゃるんですね。せっかく行くなら、ぜひそういうモチベーションの高いお店に行きたいです。