中央区は2割以上の大幅な下落を記録
まず、都心6区の最近の相場動向について、東京カンテイ市場調査部 上席主任研究員・中山登志朗氏はこう語っています。「全体的に弱めで推移しています。専有面積の狭いタイプが出ると坪単価が上がることもありますが、その場合も、グロス価格が上がることはなく、むしろ下がっています。この価格調整がしばらくの間続くのではないでしょうか」
その代表格が中央区。2008年の坪単価322万円台が、2009年1月~5月の平均は242万円台まで下がっています。下落率にすると24.8%に達します。そのほか、千代田区19.1%、渋谷区13.0%、新宿区11.5%、文京区9.8%と軒並み1割から2割前後も低下しています。都心エリアの新築マンションが、ひところに比べると格段に買いやすくなっているようです。
港区の坪単価上昇は2008年の大幅下落の反動
そうしたなかで、港区だけは28.4%の上昇を記録しています。しかし、これには理由があります。2007年の平均坪単価は528万円台でしたが、2008年には販売戸数800戸強、平均坪単価120万円台の定期借地権付き物件が販売されたため、311万円台に低下したのです。本来、港区は日本でも一番坪単価の高い区ですが、2008年には6区のなかでも坪単価が一番低くなったほどです。それが2009年には2008年の311万円台から399万円台に、28.4%アップ、6区のなかでの坪単価トップの座を回復しています。しかし、決して上昇トレンドにあるわけではありません。2007年のピークからみると、24.3%のダウンという見方もできます。かつて2006年から2008年前半にかけてマンション価格が急上昇し、“新価格”“新新価格”ともてはやされましたが、いまはそれ以前の価格に戻る、いわば“逆新価格”現象が起こっているといえそうです。
■23区都心エリア 行政区別相場情報
(千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区・文京区)
(単位:分譲戸数=戸、平均専有面積=m2、平均価格=万円、平均坪単価=万円)
行政区名 | 項目 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 (1~5月) |
千代田区 | 分譲戸数 | 321 | 765 | 78 | 136 |
平均専有面積 | 51.73 | 55.27 | 49.24 | 40.13 | |
平均価格 | 6,305 | 7,570 | 5,938 | 3,869 | |
平均坪単価 | 365.7 | 408.8 | 390.1 | 315.7 | |
中央区 | 分譲戸数 | 616 | 614 | 322 | 177 |
平均専有面積 | 44.05 | 49.13 | 49.18 | 57.87 | |
平均価格 | 3,783 | 4,528 | 4,577 | 4,156 | |
平均坪単価 | 307.1 | 322.6 | 322.0 | 242.3 | |
港区 | 分譲戸数 | 3,097 | 465 | 1,767 | 274 |
平均専有面積 | 73.72 | 94.00 | 74.34 | 65.36 | |
平均価格 | 6,869 | 16,702 | 6,980 | 8,318 | |
平均坪単価 | 304.8 | 528.4 | 311.4 | 399.8 | |
渋谷区 | 分譲戸数 | 239 | 711 | 257 | 320 |
平均専有面積 | 68.50 | 88.75 | 59.04 | 52.85 | |
平均価格 | 8,455 | 15,275 | 6,737 | 4,678 | |
平均坪単価 | 390.3 | 521.6 | 335.4 | 291.9 | |
新宿区 | 分譲戸数 | 1,838 | 769 | 845 | 318 |
平均専有面積 | 52.21 | 40.99 | 48.23 | 48.58 | |
平均価格 | 5,187 | 4,532 | 5,601 | 4,757 | |
平均坪単価 | 333.3 | 369.0 | 372.7 | 329.8 | |
文京区 | 分譲戸数 | 747 | 971 | 380 | 168 |
平均専有面積 | 48.53 | 53.74 | 56.39 | 50.43 | |
平均価格 | 4,555 | 6,117 | 6,443 | 4,915 | |
平均坪単価 | 317.0 | 367.6 | 366.8 | 330.8 |