旅館/おすすめ宿・旅館ランキング

彼(彼女)と行きたい絶景宿(2ページ目)

日本には数々の「絶景宿」がある。しかし、絶景は5分で見慣れてしまうので、絶景だけでは不足。宿の「総合力」が試される。ここでは、大切な人と行きたい絶景宿を全国からピックアップ。雑誌ではあまり紹介されない絶景宿もあり。ぜひ、ぴったりの絶景宿をみつけて欲しい。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド


橋を眺める絶景宿

橋をして絶景という人は少ないかもしれない。それならば、瀬戸内海に行ってみることをおすすめしたい。各地からブリッジ・ビューが楽しめる。

絶景

どの部屋からも大鳴門橋を遠望する

その中で、とっておきの宿をお示しするとすれば、鳴門海峡を一望する鳴門(徳島県)の「ホテルリッジ」だ。鳴門の渦潮と大鳴門橋を遠望する高台に建つ、大塚製薬グループが経営する離れ形式の10室の宿。各室とも2名仕様なので、カップルでの宿泊が基本の宿だ。とりわけ、昭和初期に建てられた文化財を移築した木造一軒家のダイニングでいただく料理には定評がある。ある日、コースの頭に登場した、酒盗に漬けたアオリや海老を炭火の上に載せた雲石で炙る一品など、阿波の地酒が何本合っても足りないくらいだ。

 
香りが蘇りそうなアオリイカの炙り(ホテルリッジ)

香りが蘇りそうなアオリイカの炙り(ホテルリッジ)

大鳴門橋がドーンと目の前にそびえるという景色ではなく、木立ちの緑と、海の青と、橋と渦潮がバランスよく配置され、どの部屋からも、ダイニングからも、温泉スパのテラスからも大鳴門橋が眺められるという「控え目さ」が、大人のカップルにちょうどいい。


 
客室はどの部屋も60平米以上あり、個人的には、玄関のたたきをはさみ、ベッドルームとバスルームが分かれた設計の和室タイプが好みだ。玄関を入ると、正面の窓から見える鳴門海峡が印象的だ。多少高くともリピーターが多いのもうなずける。

レストランからも部屋からも明石海峡大橋が眼前に(ホテルセトレ)

レストランからも部屋からも明石海峡大橋が眼前に(ホテルセトレ)

いや、橋をドーンと見たい、という方には対抗馬として神戸市の「ホテルセトレ」をおすすめしよう。舞子海岸に位置するこの宿は、明石海峡大橋が目の前。美しい景色を借景にしたチャペルでのブライダルが超人気の宿だ。神戸市は政令指定都市なのに六甲山での登山や舞子や須磨での海水浴ができる、日本とは思えない都市。神戸の住民はそれが当たり前になっているので何も言わないが、とても素晴らしいロケーションだ。神戸にわざわざ泊まる価値がある絶景宿だ。

モノレールで行く絶景宿

フロントのチェックインも絶景を見ながら(御宿風月無辺)

フロントのチェックインも絶景を見ながら(御宿風月無辺)

シズル感を高めるには、カーナビでたどり着けない宿がいい。その代わり、しっかりと、地図で予習しておこう。宿にたどり着くと、そこは玄関ではなく、小さな「小屋」。そこは「2人専用の小さなモノレール乗り場」なのだ。自動運行モノレールに乗り約2分。土地の解説を聴きながら、宿のゲートまで登っていく。フロント棟でチェックイン後、今度は自動カートが2人を乗せ、急坂を部屋まで運んでくれる。ここは、伊豆大川(静岡県)の「御宿 風月無辺」。伊豆には、絶景宿が多いが、モノレールとカートを乗り継いでいくというのが面白い。

部屋のテラスの露天風呂に浸かりつつ朝日を眺める(御宿風月無辺)

部屋のテラスの露天風呂に浸かりつつ朝日を眺める(御宿風月無辺)

客室は、1階と2階で部屋が分かれる形の離れ形式。客室には広々としたテラスに専用露天風呂が付き、、そこからは相模灘をはさみ伊豆大島を望む絶景。まさしく宿の名のとおり、「風を感じ月を愛で、景色は縁どられることなく無限に続いている」ロケーションだ。


 
夕朝食や露天大浴場は、自動カートを呼び、カートに乗って出かけていく。食事は、ひと部屋ずつの個室で伊豆の山海の幸を。温泉もなかなか質がよい。部屋露天も温泉だが、露天大浴場にも行ってみたい。

深い祖谷渓を眺める「ふわり」フロアから(ホテル祖谷温泉)

深い祖谷渓を眺める「ふわり」フロアから(ホテル祖谷温泉)

さて、対抗馬としては、エリアは離れるが、祖谷渓(徳島県)の「ホテル祖谷温泉」をおいて他にはない。こちらは、ケーブルカーだ。宿は、絶壁の渓谷の中腹に建ち、急こう配の専用ケーブルカーに乗り、谷底の露天風呂に行く。ざばざばと注がれる少し温めの温泉でゆっくり長湯しよう。宿やケーブルカーからは渓谷の絶景を存分に楽しめる。渓谷に霧が立ち込める日、客室は雲の上に「ふわり」と浮く。

究極の絶景宿

究極の絶景としてあちこちで紹介される(天空の森)

究極の絶景としてあちこちで紹介される(天空の森)

最後にご紹介するのは、妙見温泉(鹿児島県)の「天空の森」。さすがに、この宿は、あちこちのメディアでの露出が多い。妙見温泉・忘れの里雅叙苑の田島さんが、積年の夢を実現した山の上のガゼボ。一泊20万の価格も話題だが、その隔世感といえば、比べるものもない。望む山々は、ごくありふれたものかもしれないが、絶景を独り占めできるプライベート感は、特別な目的でこそ味わいたい。

日常の旅では行けない究極の絶景宿だ(当然、対抗馬はない)。まだまだ、日本には数多くの絶景宿がある。絶景は、期待感を醸し出し、サプライズを演出し、思い出となって、2人の心に刻まれる。さあ、皆さんも、絶景の宿へ!
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