最も混雑する区間は世田谷代田→下北沢間
小田急線には新宿駅から小田原駅までを結ぶ小田急小田原線と、途中の相模大野駅から分岐し片瀬江ノ島駅まで通じる小田急江ノ島線、新百合ヶ丘から唐木田駅までの小田急多摩線があります。さらに、代々木上原駅からは東京メトロ千代田線・JR常磐線への相互直通運転で千葉県・我孫子駅や茨城県・取手駅へ、小田原駅からは箱根登山鉄道・箱根湯本駅へ、新松田駅付近からはJR御殿場線・沼津駅へ向かう連絡線が運行しています。国土交通省が発表した平成19年度の混雑区間の混雑率によると、小田急線沿線でもっとも混雑する区間は上りの世田谷代田→下北沢間。朝7時47分~8時49分までの平均混雑率は192%ということです。参考までに首都圏で混雑率の高い区間を下に紹介しましょう。
■最混雑区間における混雑率(平成19年度)
線名 | 区間 | 時間帯 | 混雑率 |
京浜東北線 | 上野→御徒町 | 8:00~9:00 | 209% |
総武線(緩行) | 錦糸町→両国 | 7:30~8:30 | 206% |
山手線(外回り) | 上野→御徒町 | 8:00~9:00 | 205% |
埼京線 | 板橋→池袋 | 7:50~8:50 | 200% |
中央線(快速) | 中野→新宿 | 8:00~9:00 | 198% |
京葉線 | 葛西臨海公園→新木場 | 7:25~8:25 | 198% |
東急・田園都市線 | 池尻大橋→渋谷 | 7:50~8:50 | 198% |
京浜東北線 | 大井町→品川 | 7:30~8:30 | 197% |
南武線 | 武蔵中原→武蔵小杉 | 7:30~8:30 | 193% |
横浜線 | 小机→新横浜 | 7:30~8:30 | 193% |
小田急・小田原線 | 世田谷代田→下北沢 | 7:47~8:49 | 192% |
高崎線 | 宮原→大宮 | 7:23~8:23 | 192% |
東海道線 | 川崎→品川 | 7:39~8:39 | 191% |
武蔵野線 | 東浦和→南浦和 | 7:27~8:25 | 189% |
根岸線 | 新杉田→磯子 | 7:00~8:00 | 185% |
横須賀線 | 新川崎→品川 | 7:40~8:40 | 182% |
常磐線(中電) | 松戸→北千住 | 7:30~8:30 | 182% |
総武線(快速) | 新小岩→錦糸町 | 7:40~8:40 | 180% |
180%=折りたたむなど無理をすれば新聞が読めるレベル
200%=体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読めるレベル
複々線化で電車や駅周辺の利便性が向上
以前は208%の混雑率を記録していた小田急線ですが、ここ数年で混雑率はだいぶ落ち着きを見せています。混雑率緩和にひと役買ったと言われているのが複々線化事業です。小田急線では和泉多摩川~喜多見間が97年に、喜多見~世田谷代田が2004年に複々線化。列車の増発が可能になるとともに、各駅停車は急行や準急の通過待ちが減り、所要時間が短縮されるというメリットがありました。2004年には世田谷代田~東北沢間の複々線化工事に着工。2013年の完成を予定しています。複々線化工事は電車の利便性向上のほか、駅周辺の整備など、沿線の街づくりにも影響を及ぼしています。例えば、2004年までに複々線化工事を終えた成城学園前~梅ヶ丘間では、駅の高架下や線路上部を利用した駐輪場、図書館、レンタル収納スペース、家庭菜園の設置など駅前の整備も進められました。踏み切りが解消されたほか、路線バスやタクシーが駅の入り口付近まで乗り入れられるようになり、周辺住宅地への交通アクセスも改善されています。