預金金利は横ばいか、やや低下傾向
夏のボーナスキャンペーンには時期尚早なことから、預金金利に関する話題が新聞やニュースなどの報道で取り上げられることはありません。また、ネット銀行などが期間限定で行うキャンペーンにも、めぼしいものはあまりない状況です。まさに開店休業とは足元のような状況を言うのかもしれません。しかしながら、目を凝らして預金金利を見てみると、日本銀行の金融緩和を反映した動きになっていると言えるでしょう。金融緩和を反映しているのですから、当然、預金金利は引き下げられているのです。
メガバンクや地方銀行の定期預金金利は、1カ月から10年までの期間でほとんど金利は動いていません。また、ゆうちょ銀行の金利も動いていません。動いて(引き下がられて)いるのはネット専業銀行、あるいは地方銀行のインターネット支店で扱う定期預金金利なのです。
何度も書かせていただきましたが、メガバンクや地方銀行の定期預金金利が動かない、正確には引き下げられないのは普通預金金利が下がらないからです。もっと言えば、民間金融機関が日本銀行の当座預金にお金を預ける際の「付利金利=0.1%」が撤廃されない限り、定期預金金利が引き下げられることはないのです。
例えば、平成25年5月1日現在のスーパー定期1年物の金利は0.025%ですが、同日の普通預金金利は0.02%。スーパー定期1年物の金利をもう1段、つまり0.005%引き下げると普通預金金利と同じになり、誰もスーパー定期をはじめとする定期預金を利用しなくなってしまうからです。銀行に取ってみれば、出し入れ自由の普通預金にたくさんのお金が集まると、集めたお金での運用が難しくなる、つまり利ざやを確保するのは難しくなるからです。
好金利のネット定期にも金利引き下げの動きが
メガバンクや地方銀行の例を簡易に述べましたが、要は普通預金と定期預金の間に、ある程度の金利差があれば適用金利の上げ下げの操作を随時行えるのですが、金利差がないと動かしにくくなってしまうわけです。一方、ネット専業銀行やインターネット支店では、普通預金と定期預金の間には、メガバンクや地方銀行以上に金利差があるのです。ネット専業銀行の代表格である、ソニー銀行の普通預金は0.02%。住信SBIネット銀行の普通預金も0.02%です。これに対し定期預金金利は、ソニー銀行の1年物=0.07%、住信SBIネット銀行の1年物=0.08%(ともに預入金額100万円未満に適用)です。1カ月物ですら、ソニー銀行=0.05%、住信SBIネット銀行=0.05%と普通預金の倍以上の金利を提示しているのです(全て平成25年5月1日現在)。
このため、1カ月前=平成25年4月1日現在の金利と比較すると、ソニー銀行の1カ月物は0.01%引き下げられた半面、1年物は0.05%引き上げと市場金利に合わせた動きに。住信SBIネット銀行の1カ月物は0.02%、1年物は0.06%引き下げられているのです。
また、好金利で有名な香川銀行のインターネット支店、セルフうどん支店が扱う「金利トッピング定期預金」の1年物は0.4%から0.3%(預入金額300万円未満の場合)に引き下げられてしまいました。預入金額が100万円と制限のある「超金利トッピング定期預金」の1年物は0.5%で変わっていません。
日本銀行の異次元緩和により、長期金利は不安定な動きをしていますが、落ち着いてくれば長期金利は低下傾向になるというのが専門家の見方です。残念ながら、預金金利は当面厳しい状態が続くと言わざるを得ません。
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