加速したいときはアクセルを踏むだけ!
マスタングに用意されたエンジンは4LのV6と、4.6LのV8の2種類。ミッションは5速ATが組み合わされました。クーペボディと一緒に開発されたコンバーチブルはV8が載せられています。左右対称&直線基調のインテリア。メーターの数字はレトロ調な数字ながら、その日の気分で赤、オレンジ、緑、青、緑、紫、白の6色から選んで照らすことができます。本革シートは全車で標準装備。乗車定員はいずれも4名です
V8エンジンはオールアルミ製で、最高出力は300馬力。V6は210馬力。どちらも現代の車のスペックから見れば格段にすごいというわけではありません。またV8はおじさん連中の期待を裏切らずに、ドロロロ……と唸るエンジンです。
加えてATがマニュアルモードのない5速というのも、8速ATが登場したり、プリウスですらパドルシフトを備えている今となっては、取り立てて何か言うことはありません。
しかし、それがこのマスタングの魅力なんじゃないかと私は思うのです。例えばリアのサスペンションは初代同様、リジッド(現在でもトラックなどが使用)を採用しています。もちろん現代に合わせて新開発されていますが、少しゆるいボディと相まってビシッとした欧州車とは異なる乗り心地です。
ですがそうした、ある意味の古くささが、効率ばかり求めがちな今の時代に真っ向勝負しているというか、まぁそこまで考えたとは思いませんが、ともかくこの車の味ではないかと思うのです。
フロントガラスを収める柱(Aピラー)はクーペよりさらに傾斜しています。新車時価格は530万円でしたが、原稿執筆時点で例えば2007年式/3.7万km/修復歴なしの258万円の中古車が見つかります
よく考えてみてください。アメリカの映画は、今でもわかりやすい勧善懲悪の物語が幅をきかせているじゃないですか。例えばドロロロというこの車のエンジンに、チャキチャキとギアが切り替わるVWあたりの7段デュアルクラッチMTなんて、どうも似合いません。
きめ細やかな感情の伏線など不要、悪いやつが悪さをして、ヒーローはそれを倒すだけというのと同様、走りたくなったらアクセルを踏むだけ。以上。それでいいじゃないですか。
ただし、ちゃんと古典を現代に蘇らせた、という部分も多々見受けられるのが、単なる懐古趣味とは違うというところではないでしょうか。デザインしかり、ミッションだってフランス車は今も4速を使っている車が多いですが、マスタングは5速です。
リーバイスの501だって、微妙に毎年のようにモダナイズしているのと同じです。初代を彷彿させる懐かしさもありつつ、きちんと現代的なテイストに仕上げられています。
とはいえ、そこに400~500万円出すというのは今のご時世、なかなか勇気がいりますよね。しかし中古車なら、しかも走行距離がさほどいっていないなんて、おいしさが熟していると思いませんか。
このように、しっかり調べてみればお買い得な車種は意外とあるものです。あなたも一度、探してみてはいかがでしょう。
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