佐藤琢磨が米国インディカーで初優勝

2013年4月21日(米国・現地時間)、日本のモータースポーツの歴史に記念すべき1ページが加わった。元F1ドライバーで、米国インディカーシリーズに日本人で唯一参戦している佐藤琢磨がシーズン第3戦のロングビーチ(カリフォルニア州)のレースで見事に優勝を飾った。
佐藤琢磨

佐藤琢磨 【写真提供:Honda】



佐藤は同シリーズに2010年より転向し、フル参戦は4年目。これまで日本人で初めてポールポジションを獲得したり、昨年の「インディアナポリス500マイルレース(インディ500)」では最終ラップで優勝をかけたバトルを仕掛けるなど、あと一歩の所で歯車が合わなかったことも多かったが、シーズン4年目にしてようやく栄冠を掴み取った。インディカーレースでの優勝は日本人初。

1990年にヒロ松下(松下幸之助の孫)が日本人で初めて参戦して以来、米国インディカーレースにはこれまで数多くの日本人が参戦してきた。元F1ドライバーでは高木虎之介、中野信治なども日本のエンジンメーカーの支援を受け、果敢に挑戦してきたが、米国の特徴的なオーバルコース(楕円形の左カーブだけのレーシングコース)を使ったレースも多く、日本人ドライバー達は苦しみ続けてきた。F1やヨーロッパのレースとは様々な点で異なる、アメリカのインディカーレース。今回はインディカーの魅力と特徴を分かりやすくご紹介しよう。
佐藤琢磨

インディカーをドライブする佐藤琢磨 【写真提供:Honda】

 

F1とは似て非なる面白さ

佐藤琢磨のインディカーレース優勝を日本時間4月23日・火曜日のスポーツ紙が各紙一面で伝えた。また地上波テレビのニュースもその偉業を報道。モータースポーツがこれだけ世間を賑わしたのはいつ以来だろう? 今回の報道で、久しぶりにモータースポーツの記事を読んだという方も多いのではないだろうかと思う。そこで、F1とインディカーにはどう違うのか、疑問に思った方も居るはず。
インディカー

インディカー 【写真提供:Honda】


F1もインディカーも同じフォーミュラカーを使ったレースではあるが、似ているようで実は全く異なる要素を持ったレースである。例えば、マシンでいえば、F1は各チームがオリジナルのマシンを走らせるが、インディカーはイタリア・ダラーラ社製のマシン「DW12」を全チームが走らせ、ホンダとシボレーの2メーカーのみがエンジンを供給する。

また、レーシングコースもF1には無い楕円形のオーバルコースでのレースが15戦中5戦設定されており、市街地コースなどの特設コースが7戦。F1に多い常設コースでの開催は僅か3戦だけと、インディカーはコースの特徴も大きくF1とは異なっている。

また、「インディカー」は「インディ500を走るクルマ」というネーミングからも分かる通り、アメリカ・インディアナポリスで毎年5月に開催される「インディ500」を中心に置いた、アメリカ国内が中心のシリーズ戦になっている。その「インディ500」自体は既に100年以上の歴史があり、F1の63年の歴史よりも遥かに長い。インディカーはヨーロッパ主体のF1とは全く異なる独自の路線でその歴史を刻んできた。

F1が最新の自動車技術を競うことに主眼をおいて発展してきたレースと言うならば、インディカーはアメリカらしいエンターテイメント性を重視したレース。似て非なるものであり、違った歴史と価値観が作る面白さがある、と考えるのがベターだ。

では、佐藤琢磨が飾った日本人初のインディカー優勝。これがどういう意味を持つのかを次のページでご紹介しよう。