坪単価が3割近く低下した川口・蕨エリア
さいたま市の南側、東京都に近い川口市や蕨市では2008年には坪単価の高いワンルームタイプのマンションが急増して、平均坪単価が大幅に上昇しました。特に川口市では2007年の平均専有面積69 m2台が56 m2台に縮小、平均坪単価は181万円台から225万円台に上がりました。それが、2009年1月~7月の平均専有面積は71 m2台に戻り、もともとこのエリアの中心だったファミリータイプのマンションが増加しているのです。それにともなって平均坪単価も161万円台まで下がりました。2008年に比べて3割近いダウンで、ほぼ2006年水準に戻しています。このため、値頃感から徐々に購入客が戻りつつあるようです。
西川口駅では平均坪単価が4割以上低下
「都心への通勤も便利ですし、JR京浜東北線各駅も川口駅では駅前にホールができ、蕨市の西口では再開発が進み、イメージが随分と変わりました。また、川口市では、子育て支援制度を推進してファミリー世帯の呼び込み、定着に力を注いでいます。そうした効果がジワジワと表れているのではないでしょうか」(前出・中山氏)駅別にみると、JR京浜東北線西川口駅では、2008年の平均坪単価273万円台が、2009年1月~7月は149万円台まで下がりました。平均専有面積をみても、2008年は31 m2台でしたが、2009年には74 m2台に拡大しています。専有面積でもみても、明らかにワンルームタイプシフトからファミリータイプ中心に戻っていることがわかります。その結果、平均価格は若干上がっていますが、それでも3,000万円台の前半ですから、都心への近さを考慮すれば、値頃感が出ている水準といえそうです。
朝霞市・新座市では価格調整はこれから
これに対して、価格調整が遅れているのが、東武東上線沿線の各市。たとえば、朝霞市では2009年1月~7月の平均坪単価は187万円台で、2008年の172万円台より8.7%高くなっています。新座市も2008年には135万円台だったのが、2009年には173万円まで上がり、上昇率は28.3%に達します。新座市の場合には、平均専有面積が70 m2台から64 m2台まで縮小しており、コンパクトタイプのマンションが増えていることが、坪単価を押し上げる要因になっているようです。いずれにしても、価格上昇前の2006年に比べると、平均坪単価はまだかなり高い水準にあり、今後は価格調整が進む可能性がありそうです。
■埼玉エリア 駅別相場情報
(単位:戸数=戸、平均専有面積=m2、平均価格=万円、平均坪単価=万円)
※---はデータなし
沿線名 | 駅名 | 項目 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 (1~7月) |
JR京浜東北線 | 川口 | 分譲戸数 | 191 | 305 | 301 | 102 |
平均専有面積 | 72.27 | 71.00 | 55.85 | 75.70 | ||
平均価格 | 3,814 | 4,398 | 3,686 | 4,833 | ||
平均坪単価 | 174.4 | 203.7 | 238.9 | 209.5 | ||
西川口 | 分譲戸数 | 143 | 182 | 45 | 284 | |
平均専有面積 | 53.47 | 55.11 | 31.76 | 74.29 | ||
平均価格 | 2,660 | 2,953 | 2,337 | 3,340 | ||
平均坪単価 | 181.3 | 182.4 | 273.4 | 149.0 | ||
蕨 | 分譲戸数 | 118 | 65 | 59 | --- | |
平均専有面積 | 66.88 | 72.35 | 58.62 | --- | ||
平均価格 | 3,165 | 4,427 | 3,441 | --- | ||
平均坪単価 | 156.2 | 201.6 | 194.5 | --- |