開放感は高いが、狭い道での取り回しはやや注意
運転席に収まると、C4ピカソほどではないが抜群の開放感を味わえるのも魅力。フロントウインドウや左右のサイドウインドウが大きく、頭上にも十分過ぎる余裕がある。
しかも、インパネの上辺が低いから先がよく見える感じがするのだが、じつはダッシュボードの奥行きがかなりあり、フロントノーズの先はシート高を上げていっても把握しにくい。アルファード/ヴェルファイアと同値というワイドな全幅もあって取り回しには意外と気を使う。
心臓部は1.6Lの直列4気筒DOHCターボで、PSAとBMWによるお馴染みのPrince(プリンス)エンジン。トランスミッションはC4ピカソの6速EGSではなく、日本で受け入れられやすい6ATのみ。
156ps/6000rpm、240Nm/1400-3500rpmのスペックは、C4ピカソと同じで、6速ATによってよりイージーに車速を上げていくことができる。
だが、208のような1.2t級の軽量ボディではなく、5008は1.6t級だからパンチ力には欠けるが、それでも周囲の流れに乗るのは容易。高速道路の追い越しや勾配のきつい上りでもほとんどモアパワーを感じさせないのも美点といえる。
やや気になる、1人乗車時や空荷時の乗り心地
乗り心地も決して悪くはないが、ややピッチングが大きめなのは気になるところ。路面が良ければ滑らかなのは当然ではあるものの、足もよく動く方だ。でも大きな凹凸を乗り越えると衝撃を正直に伝えてくるのと、個体差かもしれないが、40~70km/hくらいを前後するような加・減速時にAピラー付近からビビリ音がすることもあった。
乗員数は増えればもう少しドッシリとしたものになりそうだし、1台に乗っただけなので個体差の可能性も十分あるから断定はできない。また、気になるレベル、欠点というほどでもない。
運転席以外の乗員に優しい
それよりも印象的なのが、大きくロールしそうな足の動きであるにも関わらず、コーナリング時は驚くほど安定していて、絶大なロードホールディング性とまではいえないものの結構な粘り腰で、首都高速の環状線あたりでもヒラリヒラリと軽快かつ安定感を保ちながらクリアしてしまうのは驚かされてしまう。
スポーティなミニバンといえば、オデッセイやストリーム、ウィッシュの2.0Zあたりがかなりクイックな走りを楽しめるが、それはドライバー目線のみの話で、運転席以外の乗員が安心して座っていられるという視点でいえば、5008の方が一枚も二枚も上手だと思う。
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