相続・相続税/相続の事例・トラブルと対処法

「相続」を「争続」としないための相続対策のポイント(2ページ目)

相続による遺産分割の争い、これを俗に「争続」と言います。何も資産家に限ったことではなく、また一度争いが始まってしまうと、終わった後も人間関係が元に戻ることはほとんどありません。誰にも共通する一般家庭にもありがちな争続を例に、生前にできる相続対策を紹介します。

小野 修

執筆者:小野 修

相続・相続税ガイド

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普段からの感謝の心が最強の争続対策

争続が起きてしまってからの対策は残念ながらほとんどありません。では生前に何をしたらよかったのでしょうか?

ちょっとした気遣いの積み重ねで、相続は「爽続」に

ちょっとした気遣いの積み重ねで、相続は「爽続」に

まず忘れてならないのは、親の介護などで一番苦労した人は、同居していた兄の妻だということです。しかもこの妻は相続する権利はありません。そのことを理解し、弟は実家に戻るたびに、兄の妻に「いつもありがとう」という一言を伝えましょう。そのことを妻から聞いた兄は、「苦労を分かってもらえている。弟にも財産を相続させたい」と思い、弟は、「苦労している兄(夫婦)に親の財産は全て任せよう」と、いつしか不公平など忘れ、互いに譲り合いの心が生まれます。

次に兄と弟、財産を引き継ぐ「相続人」同士双方の感謝も大切です。親と同居して面倒を見ていてくれる兄への感謝として、弟は実家に戻る際は「ありがとう」と言ってちょっとした手土産を持って行きましょう。たまにしか実家や病院へ来られない弟が来てくれた際の感謝として、帰り際に兄は「少ないけど」と言って弟に交通費を渡しましょう。相手が自分の苦労を分かってくれていると感じると、感謝の気持ちとともに、自然と心は優しくなります。

とは言え、自然とこうなることも少ないでしょうから、ここは親の出番です。親から率先して普段から何度も家族会議をしましょう。その際に、家族全員への感謝、それぞれの立場の苦労があることを、元気なうちからみんなに伝えることで、子ども達は「相手は、自分だけは」という考え方の違いや損得勘定が起こらないようになってきます。

「あの親だったから争いが起きなかった」と、いつまでも語られることは、親としてはこれ以上の幸せはありません。互いに感謝する心、その結果の争いがない相続、これこそ親が残せる一番素晴らしい財産ではないでしょうか。


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