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これぞ花形! 皐月賞・日本ダービー・菊花賞の魅力(2ページ目)

イギリスの競馬を模範に作られた皐月賞・日本ダービー・菊花賞。この3レースは「三冠」と呼ばれ、ホースマンの夢舞台とされてきました。そして、見ている私たちも三冠に魅了され続け、レースになると人に見せられないほど興奮しています。ではなぜ、私たちは三冠レースにそこまでの魅力を感じるのでしょうか。その理由をお話しします。

河合 力

執筆者:河合 力

競馬ガイド


多種多様な舞台で行われる3ラウンドの戦い

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三冠第2弾として位置付けられているのが、あの日本ダービー(写真 JRA)

同じ世代で3回戦うからといって、決して単調な結果にならないのが三冠レース。なぜなら、3戦とも距離やコースなどの舞台設定を大きく変えることで、違った能力が必要とされるから。具体的に見て行きましょう。

三冠とよばれる三つのレースは、以下の条件で行われます。

4月:皐月賞(芝2000m、中山競馬場)
5月:日本ダービー(芝2400m、東京競馬場)
10月:菊花賞(芝3000m、京都競馬場)    

どうですか、この絶妙なプログラミング。まさに匠の技。私はこれを見ているだけでニヤニヤします。なんて、一人興奮しても気味が悪いので、三つのレースで求められる能力がいかに異なるかを説明しましょう。

まず皐月賞と日本ダービーの違い。もちろん400mの距離延長は大きいですが、それ以上にコースの違い。中山競馬場と東京競馬場は、競馬界の月とすっぽん状態で、中山競馬場は小回りでコーナーがきつく、直線も310mとコンパクト。となると、レースはスピーディになりがち。そこで必要とされるのが高いスピード能力と、一早く良いポジションを取るための反応の良さやコーナリングのうまさ、そして運。「小技」を要するスケートのショートトラック状態ともいえます。

対する東京競馬場は、国内トップクラスのビッグスケール。直線は525.9mで、コーナーも広々しているので、小技はほとんど問われません。その代わり、スピードとともに、確かな底力とスタミナが必要となります。

最後に待つ菊花賞……これがまた大変

極めつけは、第3ラウンドの菊花賞。このレースの特徴はとにもかくにも3000mという距離。競馬のレースでは年に数回しかない3000m超の長距離レースで、3歳馬にとってはもちろん初体験。スタミナが必要なのに加えて、今までのレースと同じペースで走ったらバテますから、いつもよりゆったりとリラックスして走らなければなりません。菊花賞を勝つためには、初体験の遅い流れにすんなり対応できるかがカギ。三冠最終戦にして、最大の“新たな体験”が待っているんですね。

成長期のサラブレッドに用意された三つのまったく異なる舞台。この違いこそが、陣営に「今回は負けたけど次こそは」、「スタミナ勝負の菊花賞なら」という希望を与えます。ファンも、「皐月はダメでもダービーでは逆転できる」という夢を見られるのです。そうやって三冠レースを見るうちに、いつしかある馬の“追っかけ状態”になっているわけです。

さらに、サラブレッドは20歳を越えれば高齢とされる生き物。となると、約5カ月空くダービーと菊花賞はもちろん、皐月賞とダービーの間の1カ月半も、馬の成長には間違いなく大きい期間。ですから、レースの間に馬がグッと成長を見せるケースもあります。その成長をしかと目に焼きつけられるのが三冠レースなのです。

次ページでは、数々のドラマを生んだ三冠レースの中でも、特にドラマティックだった1年を紹介しましょう。

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