人により、まったく異なる競馬の見方

「競馬のことを詳しく知りたい」と思った時、一番手っ取り早い方法は、競馬好きの知り合いに色々と教えてもらうこと。ですが、これにはひとつ問題があります。何かというと、競馬は、人によって楽しみ方や考え方がまったく違うということです。

具体的にどういうことなのか。突然ですが、ここでシミュレーションしてみましょう。

------------------------------------------------------------------
ある日、競馬に興味を持った28歳のカワイ君は、競馬好きの知り合い4人に、同じ質問を投げかけました。その質問とは「ディープインパクトのすごさって何ですか?」。
deepin

武豊騎手が「飛んでいる」と評したディープインパクト(写真 JRA)

ディープインパクト。言わずと知れた国民的スターホースですね。2004年にデビューし、武豊騎手を背にG1を7勝。フランスの凱旋門賞にも挑戦したあの名馬です。

しかし、4人の答えを聞いたカワイ君は驚いてしまいました。なぜなら、あまりに回答が人によってバラバラだったからです。では、4人の回答を順に見てみましょう。

Aさん(馬の個性やキャラが大好き)の回答
「ディープインパクトの魅力といえば、やっぱりあのレーススタイルだよね。スタート後は一番後ろにいて、直線だけで一気にゴボウ抜き。最終的にはいつも圧勝なんだけど、でも直線まではハラハラさせる。あの気分はたまらないね。とんでもない能力とスター性を兼ね備えた馬だよ」

Bさん(数字やデータが大好き)の回答
「とにかく規格外のサラブレッドだよ、ディープインパクトは。それを示したのが2006年のG1、天皇賞・春。G1のなかでは最長の3200mで行われるマラソンレースで、ディープインパクトはもっともきついはずの残り800mから一気にスパートして先頭に。競馬では、各レースで200mごとのラップタイムを計っているんだけど、12秒を切れば早いとされるのに、このときのラップタイムは、残り800mから11.3秒→11.0秒→11.2秒→11.3秒。ディープインパクトは、最後の800mであわや10秒台というラップタイムを4回続けて出してしまったんだ。おまけにレースタイムもレコード。こんな馬、見たことないね」

Cさん(血統を調べるのが大好き)の回答
「血統がパーフェクトなんだよな。父は日本で幾多の名馬を輩出したサンデーサイレンス。母は妊娠中の身でドイツのG1を勝ったという過激なエピソードを持つウインドインハーヘア。ディープインパクトの現役時代はもちろんすごかったけど、引退後もその子どもが軒並み活躍しているんだ。さらにすごいのは、ディープインパクトの兄と弟が、同じく父親として活躍馬を出していること。これこそが、一流の血統という証だよ」

Dさん(とにかく大当たりが大好き)の回答
「ディープインパクト? ああ、あの馬は嫌いだよ。だって負けないんだもん。いつも断然の1番人気で圧勝。冗談じゃないよ。俺は大穴にしか興味ないのに、ディープインパクトが出てくると、大波乱を期待できない。それが辛いんだよ。唯一日本で負けたレースは『どうせ断然人気のディープが勝つ』と思って買わなかったし、あと一回の黒星はフランスのレースだろ? 買えねえっつうんだよ。何? あの馬のすごさ? そりゃ、俺たちみたいな一攫千金を狙う輩をとことん黙らせたことじゃねえか」
-------------------------------------------------------------------------

かたや馬の個性、かたや数字、かたや血統、かたや馬券。同じ馬のことを語るにも、人それぞれ見る角度がまったく違うんですね。これが競馬の大きな特徴であり魅力。ですから、競馬に興味を持ったら、なるべく多くの人に質問して、様々な競馬の見方を知るのがベストです。

とはいえ、近くに競馬好きの知り合いがいないケースも少なくありません。となると、色々なメディアから情報を収集していくことになります。

そこで次ページからは、競馬を楽しみ、情報を仕入れられるメディアを紹介します。