第二章 ものづくりのこころ

松下幸之助が京都や大阪の工芸家を通じて、日本の伝統工芸に関心をよせる契機となった作家らの作品を展示します。

■『駒織縮緬地友禅訪問着(こまおりちりめんじゆうぜんほうもんぎ)早流(そうりゅう)』 森口華弘(もりぐち かこう)作
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『駒織縮緬地友禅訪問着(こまおりちりめんじゆうぜんほうもんぎ)早流(そうりゅう)』1961年 東京国立近代美術館蔵 前期展示:4月13日−5月28日 ●クリックすると拡大します

タイトルにあるように勢いのある川の流れが感じられる作品。森口華弘は、1967年、重要無形文化財「友禅」保持者に認定される。

■『芦鷺地紋真形釜(あしさぎじもんしんなりかま)』角谷一圭(かくたに いっけい)作
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『芦鷺地紋真形釜(あしさぎじもんしんなりかま)』1961年頃 パナソニック株式会社蔵 ●クリックすると拡大します

地に鷺と芦が施された真形釜。緊張感のあらう均整のとれたフォルムから作家の誠実な人柄がうかがえる。

■『萌生花籠(ほうしょうはなかご)』二代目前田竹房斎 作
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『萌生花籠(ほうしょうはなかご)』1978年 パナソニック株式会社蔵 ●クリックすると拡大します

緻密な編み込みが技術の高さをうかがわせる優品。

■『型絵染字入四季文様屏風』 芹沢けい介 作
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『型絵染字入四季文様屏風』1954年頃 パナソニック株式会社蔵 後期展示:7月11日−8月25日 ●クリックすると拡大します

柳宗悦に感化され民藝運動に携わった芹沢けいすけは、沖縄紅型などの染色を研究、優れた創作と意匠性を獲得し、1956年には重要無形文化財「型絵染」保持者に認定された。本作品は、四つの面それぞれに「春」「夏」「秋」「冬」の文字と季節を表す花鳥や風俗が確かな構成とおおらかに文様化されて配置されている。

■『金鎌倉四稜茶器(きんかまくらよんりょうちゃき)』黒田辰秋 作
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『金鎌倉四稜茶器(きんかまくらよんりょうちゃき)』1965-72年頃 パナソニック株式会社蔵 後期展示:7月11日−8月25日 ●クリックすると拡大します

四つの稜が器を大胆に構成する「四稜」の茶器。胎である木の勢いさながらに捻り削られ、朱漆が鮮やか。黒田辰秋は京都の塗師屋に生まれ、個人作家を目指して独立し、民藝運動に参加して自らの造形を獲得していった。1970年には重要無形文化財「木工芸」保持者に認定された。

■『截金彩色まり香合(きりかねさいしょくまりこうごう)』江里佐代子 作
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『截金彩色まり香合(きりかねさいしょくまりこうごう)』2003年頃 パナソニック株式会社蔵 後期展示:7月11日−8月25日 ●クリックすると拡大します

繊細かつ鮮麗な仕事が光るまり形の香合である。洗練された高度な技と現代的な感性とで表現される優美な江里の作品は定評を獲得し、2002年重要無形文化財「截金」保持者に認定された。

■『双蛸図漆貴重品箱』 番裏省吾(ばんうちしょうご)作
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『双蛸図漆貴重品箱』1956年 パナソニック株式会社蔵 中期展示:5月30日−7月9日 ●クリックすると拡大します

表面に大きく踊る蛸が伸びやかに描かれ、3つに区切られた中蓋には風車のような文様が施されている。高度な技術と意匠力に裏打ちされた、漆と金の色遣いを効果的に見せる大胆なデザインに目を奪われる。


住まいでも、仕事場でも、現代の暮らしは、なんでも揃って便利になっています。気がつくと、私たちの生活空間は、そんな便利な「もの」に埋もれ、「もの」に囲まれて生活しています。
暮らしの中に必需品として様々な「ものづくり」をした松下幸之助の展覧会は、「もの」が増え続ける消費社会において、あらためて「ものの本質」、「本物のもの」、そして日本人が育んできた「伝統工芸」の素晴らしさを発見する貴重な機会になることでしょう。