ドライバーの意志が吸収されていくような、ゆかいな気分に
4Sに搭載される3.8リッター水平対向エンジンは最高出力400ps/最大トルク440Nmを発生。4の3.4リッターは350ps/390Nmとなる。エネルギー回生システムやアイドリングストップ機構も備わった
400psというと、筆者が以前に乗っていた993ターボに匹敵するパワーである。かなり身構えて走りだしてみれば、まずはその極上のグランドツーリングカーっぷりに驚いた。991となって、スポーツ性能の向上はもちろんのこと、インテリアのラグジュアリー度アップをみても分かるとおり、GT化も著しい。それをして911らしくないとは、そもそもRRに固執しないボクはまったくもって思わないわけだけれども、事実は事実。そのことはカレラSのリポートでも述べた。
カレラ4Sでは、それがいっそう強調される。路面をガッチリと手足を拡げてつかむ感覚は明らかに増していて、フラットなライドフィールも顕著だ。それでいて、フロントが自由に動く感覚もしっかり残っていて、4駆と言われて思い浮かべる不自由さなど微塵も感じさせない。専用チューニングの賢い電子制御が、これまでのどの911よりも、素直で快適で安心で、しかも楽しいドライブフィールを提供してくれていた。
走安性やトラクション、ハンドリング性能を高めるPTM(ポルシェ・トラクション・マネージメントシステム)を採用。これは991ターボのものをベースに、効率と燃費の向上も重視して最適化された。コースティング機能も備わっている
あらためてボクはカレラ4のファンになった。ワイドボディがあるから、4Sでなくてもいい。本当のことを言うと、タルガ4なんかがあれば嬉しい。いざとなればスポーツできるぞ、くらいに留めておいて、ふだんはご機嫌なクルーザーとして、オールマイティに使い倒してみたいからだ。