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東日本大震災から2年 ハウスメーカーはどう動いた?(2ページ目)

東日本大震災から2年が経過しました。痛ましい出来事ではありましたが、復興への歩みも徐々に進んでいます。この記事ではハウスメーカーが震災発生から現在までに、どのようなことをし、逆にできなかったのか、改めて確認したいと思います。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

東日本大震災では住宅の津波被害が大きくクローズアップされましたが、その一方で地震の揺れで大きな被害があったことも事実です。大手ハウスメーカーの中では、全壊の被害はほぼなかったようですが、それでも構造体の強度を保つブレース(筋交い)が壊れたり、基礎部分の損傷などかなりの被害を受けた建物もあったといいます。

液状化など地震被害は補償の対象外に

液状化被害

千葉県浦安市の液状化被害の様子。地盤沈下はハウスメーカーの保証の対象にならず、残念ながら施主が自腹で復旧費用を負担する必要が出てくる(クリックすると拡大します)

このような地震被害では基本的に補償の対象とはなりません。それは大手ハウスメーカーでも同様。企業規模が大きく、躯体構造に関する長期保証制度を採用していることから、一般消費者には安心感がありますが、地震の被害というのは例外なのです。

住宅取得時には必ず火災保険に加入するのですが、火災保険は地震の被害に対する補償は含まれていません。ですから、地震に対する備えとしては地震保険に加入することが必要になります。そのため東日本大震災以降は、住宅の復旧作業にあたったハウスメーカー関係者から、地震保険による備えの必要性が数多く指摘されています。

沿岸部はもとより、内陸部でも地盤の液状化被害が発生するなどしたことも、東日本大震災の住宅被害としてクローズアップされたことでした。これも大手ハウスメーカーも含めて補償の対象になりません。住宅の傾斜を適正な状態に戻すためには、基本的には施主が費用負担しなければならないわけです。

ただ大手ハウスメーカーの場合、地震・津波・液状化のいずれの場合であれ、点検によって問題点が明らかにされ、どのような補修が必要になり、その費用がどのくらいになるのかが比較的早く判明しました。それはこのような大災害では一つの価値といえます。

なぜなら居住の継続が可能か、そうでなければどうすれば良いのか、ということがわかれば、施主にとっては次に取るべき行動がわかるからです。そうしたことがわからず、時間が経過してしまうと、心配事が増えるばかりで精神衛生上良くありません。

仮に液状化の被害に遭い、その矯正が必要だとしても、その補正工事は特殊で専門業者も多いわけではありません。大手の場合はその点、全国的なネットワークを駆使し専門業者に工事を依頼できますから、比較的早く工事に着手できたということも私の取材でわかってきました。

住宅の瓦の被害も同様ですが、震災後しばらくは資材や人材の確保が難しく工事の実行までに相当の時間が必要になりました。ですので震災から2年が経過した今でも、瓦の葺き替えが終わっていなかったり、液状化被害が解消されていない住宅が散見されます。ただ、後者については自治体の対応が未だに決定していないということもあるのですが…。

原発エリアの顧客対応はハウスメーカーでも困難

再建された住宅

宮城県名取市の沿岸部の1年前の様子。津波被害に遭った地域だが、一部では住宅の建築が進んでいた(クリックすると拡大します)

大手のハウスメーカーでも対応できなかったこと。それは福島県の原発事故で避難が必要となったエリアへの対応です。何しろ一般人の出入りが制限され、放射能の危険性も未だに残る地域ですから、いくら組織力や総合力のある大手ハウスメーカーでも施主の住宅を調査することさえできないのです。

それくらい事態が深刻ということであり、ハウスメーカー関係者も対応に苦慮しているようです。とはいえ、住宅再建のための資金力のある方を中心に代替となる土地を紹介するなどしている点は、これも大手ならではの強みとはいえるかもしれません。

東日本大震災は福島の原発事故や津波など「想定外」とされる被害が発生した出来事であり、その対応に大手ハウスメーカーでさえ相当な苦労をしていたことは事実です。しかしそこに見えてきたのは、地域の工務店にはないネットワークによる迅速な行動でした。それは今後発生するあらゆる災害において発揮されるはずですし、被災後の混乱の中で私たちの一筋の希望になるかもしれません。

なお、今回ご紹介したハウスメーカーの活動は私が取材した一部の範囲のものであり、実際には大手とはいえ必ずしも足並みがそろっていたとは言い切れません。というのも、企業やそこに所属する人たちの考え方や関わり方は様々だったからです。

しかしながら、一つだけ共通していえるのはその組織力や総合力が比較的早く機能したことは間違いないなく、被災地においてはそれが施主にとっての安心につながったということです。
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