住宅設計・間取り/キッチン・洗面・寝室・子供部屋の間取り

オープンキッチンはバックヤードで美しく(3ページ目)

オープンキッチンは整理整頓が大変、と思っていませんか? バックヤードを工夫することで、シンプルでいつも清潔なオープンキッチンが実現できます。

塩野 哲也

執筆者:塩野 哲也

空間デザインガイド

手元を少し隠すだけで S邸の場合

キッチン壁
手元を少しだけ隠すと、安心感が生まれる。壁の高さは20センチ程でいい

キッチン壁2
リビングからキッチンを見る。手元が隠れるだけで、だいぶ違う
常にキッチンの上が見えるオープンキッチンでは、スポンジや食器洗剤の容器が見えるだけでも気になります。緊張感を保って整理整頓を心がけることは必要ですが、育児や家事に追われる最中、それが負担になってしまっては快適な暮しはできません。

そこで最近増えてきたのが、キッチンに20センチ程の壁を立てるスタイルです。これだけでキッチンの見え方が大きく変ります。食材や皿などを出しても、外からはほとんど見えません。調理中の手元も隠れます。これだけでだいぶ負担が減ります。

バックヤード
キッチンの裏側にはストレージがある(写真の右側)
このS邸の場合も、プランはL字型です。キッチンの裏側には大きなバックヤードがあります。バックヤードは奥行きがあり、外からは目立ちませんが、たっぷりと収納量が確保されています。

収納の大半がバックヤードに収まるので、表側に見える棚にはバスケットを置いて、軽やかな雰囲気を演出しています。

リビング
ダイニングからリビングを見たところ。キッチンとリビングの距離は近いが、適当な仕切り感がある
リビングとキッチンは近い場所にありますが、適当な仕切り感があります。キッチンとソファの位置関係が90度になっている事がポイントです。間仕切りなどを使わずに、心理的な仕切り感をだすことが、限られたスペースを有効に活かすコツです。

S邸図面
S邸の平面図。バックヤードの奥行きを活かしている

オープンキッチンを実用的に使いこなす

さて、今回紹介したフォルム アッシュ+バーンの3件の実例は、同じオープンキッチンでも、それぞれに異なる工夫がされています。共通するのは、キッチン、ダイニング、リビングをひとつの空間として捉え、限られたスペースをとても有効に活用していることです。

ポイントは収納のバックヤードを作ること。収納の余裕がないと、片付けのモチベーションも下がってしまいます。

3例とも延べ床面積は90~100平米(約30坪)。3~4人家族向けで、子供部屋も備えています。もしリビングやダイニングなどを仕切ってしまったら、とても狭い雰囲気の空間になったでしょう。コンパクトなオープンキッチンは、このような家庭にはもってこいのプランなのです。

取材協力:フォルム アッシュ+バーン(東京・青山)
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