トンレサップ湖で風にふかれてみる
青い空、白い雲。水の上に浮かぶ雲は、底がはけでぬぐいとられたように平たい――。ディーゼルエンジンの振動を身体に受けながら、普段陸上で生活している時には気づかないし、思いもつかないそのことを、トンレサップ湖のクルーズに参加して実感しました。「トンレサップ湖(Tonle Sap Lake)」は、クメール語で「巨大な淡水湖 (sap) と川 (tonle)」という意味だそうです。
クルーズには、10人も乗れば沈んでしまうのではないかと思えるほど小さな舟がよく使われているようで、わたし達が乗ったものもそうでした。
舟に乗って、ガイドさんのお話にのんびり耳を傾けている時には気付かないのですが、舟は案外馬力があるようで、傍らを通りすぎて行った同じ型の舟の舟頭には、高々と掲げられたカンボジア国旗がはためいていました。
あぁ、左手に、教会が見えます。空色の壁にピンクの屋根。奥にあるベランダについているのは、ソーラーパネルかな?
このトンレサップ湖には、わたし達がクルーズの途中で立ち寄った観光用のレストランのほかに、学校や民家もあります。もちろん深度の差はあれ、みんな水の上に建っています。
乾いた土地は高いけど、いつかは住みたい。そうおっしゃる方もおられるとは聞きましたし、いろいろ不便な点もあるのでしょうが、いち旅行者のわたしには、たゆたう水の上での暮らしは、この上ない贅沢に思えたのです。
どうです? あなたもしばし日常を忘れ、トンレサップ湖で風にふかれてみませんか。