人材育成・社員教育

過去20年間のグローバル人材育成の変化と最近の傾向(2ページ目)

20年前にもグローバル化は叫ばれていましたが、20年前と今とでは求められるグローバル人材像が違います。そして、その違いは各社の取り組みを見ても明らかで、人材育成(特に海外研修)の内容にもかなり変化が見られます。

豊田 圭一

執筆者:豊田 圭一

留学ガイド

日本企業各社が行っている海外研修のトレンド

特にこの数年は多くの日本企業(特に大企業)が従来の海外研修を見直す時期だったように思います。
例えば、大手商社各社は20代のうちに社員全員に海外を経験させるという方針を打ち出しました。選抜された何人かを語学研修やMBA留学に出すのではなく、とにかく短期間であったとしても早いうちに全員に海外を「経験」させるということだそうです。

また、同じ語学留学でも、留学先がアメリカなどの先進諸国ではなく、インドなど、タフな環境で且つ将来のマーケットとなる新興国に変わりました。

大手電機メーカー各社もかなりの人数を海外に研修に出し始め、例えば日立製作所は市場の拡大が見込まれる新興国を中心に年間1000人もの若手社員を海外研修に出しています。
また、アサヒビールが行っている「海外武者修行」研修(グローバル・チャレンジャーズ・プログラム)では、海外で語学研修をしながら事業戦略を立案し経営に提言するという試みを行っています。

キーワードは「新興国」と「体験型」

各社の取り組みからキーワードを探してみると、その1つは「新興国」ということになります。「新興国」「新興市場」「途上国」など、まさに日本企業の国際化が「マーケット(市場)としての海外」にシフトしているということが、海外研修先の変化からも見て取れます。

また、もう1つのキーワードは「体験型」「実践的」ということです。
従来の受け身の研修では新興マーケットを開拓する力はつかないということでしょう。
各社の研修内容が「課題解決型」「提案型」「現場重視」というものに変わり、その目的も「(若いうちに)海外アレルギーを払拭させる」や「(若いうちに)現地の文化に慣れ親しませる」というものになっています。

つまり、今求められているのは「語学力」や「マネジメントスキル」の前に、グローバルで活躍したい!というグローバルマインドや、どのような環境においても現地の人を巻き込みながら仕事を進めることができるというタフで主体的なマインドと実行力ということでしょう。

だからこそ、「若いうちに海外を経験する」ということに重きが置かれ、先進国でのスキル・知識習得型の海外研修から、新興国での体験型の海外研修に変化をしているのだろうと思います。
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