世界有数の巨大都市・江戸
江戸の町並み。合理的に区割りされ、上下水道は整備され、防犯・防火の仕組みも備えていた
江戸(現在の東京)に幕府が開かれた1603年から、1868年の江戸城明け渡しまでが江戸時代ですが、当時日本にはまだ化石燃料による動力はなく、あるのは太陽や水、風といった自然エネルギーだけでした。ほとんどの生産を人力に頼っていたのです。そんな時代にもかかわらず、江戸は着実に成長を続け、18世紀には人口100万人を擁する、超過密な大都市へと変貌を遂げました。
狭い土地に限られたエネルギー、少ない資源。そこだけを見れば、経済、公衆衛生、文化など高いレベルを求めるのは困難に思えます。
江戸はクリーンな文化都市!?
ところが、花のお江戸は大賑わいです。諸国の名物は次々に江戸に運ばれ、交易は盛ん。ゴミは管理され衛生状態は良好で、飲料水も河川もきれいです。華やかな文化が生まれ、芸能、美術、文学が隆盛を極めました。蒸気機関も電気もありませんが、江戸では庶民といえどもそれなりに健康で文化的な暮らしを営み、ささやかな楽しみを謳歌していました。そんな江戸には、「質の高い、シンプルな暮らし」のお手本がたくさんあるのです。