■出来上がりは、少し離れたところから。
自分で着る場合もそうなのですが、着物、帯、小物の技術的な方法ひとつひとつに集中し過ぎて、全体のバランスに欠けていることに気が付かない事が多くあります。つまりは木を見て森を見ずの状態になり、せっかくの着物姿が台無しということも。
特に着せたり結んであげる時というのは、やらなければ!という気持ちが先走って肩に力が入るもの。一点に気持ちが集中しやすく、部分部分はキレイに仕上がっているのにも関わらず、全体のバランスが悪くて残念な感じということにもなりかねません。せっかく第三者的に見られる立場なのですから出来上がりは少し離れたところから見るようにして、全体のバランスを見ること。
■時間をかけすぎもNG
丁寧に仕上げるということは基本ですが、全体的に時間がかかり過ぎると相手にとても負担が掛かります。特に七五三で子供に着せる時などは、なるべく手早くすることが大切です。ご存知の通り着物を着る時というのは、その間立っているワケなので、あまりに時間がかかり過ぎると、「もう2度と着物は着たくない」と思われかねません。それに、あそこがダメここがおかしいと、ゴチャゴチャと途中で手直しし過ぎるよりも、サッと着せて後からバランスを見る方が、不思議に上手くまとまるものです。
人に着せてあげる結んであげるという事の意味
着せて結んであげる事は人の為ならず
この事に関して言えば、自分がある程度着られるようになった人は次の段階として、「人に着せてあげる」「結んであげる」事を覚えてどんどん着物の世界を広げていって欲しいと思います。というのも、「人に着せてあげる」「結んであげる」という作業は、自分が着物を着る上で今まで見えなかった事に気付いたり、上手くいかなかったことのワケが分かるようになったり、つまりは自分を客観的に見られるようになることによって、更なるこなれた感のある着こなしができるようになるものだからです。
着付けの世界で言う段階として、自分が着られるようになる→人に着せてあげられるようになる→着方を教えてあげられるというステップで上達していきます。そしてそれぞれステップを踏むごとに、自分で着るという事が、ますます上達しやがて着物を着るということが本物になっていくのです。