あえて英語以外の科目に力を入れ、
地元との連携を重視する世田谷区(世田谷区)
三軒茶屋や二子玉川のイメージが強いが、世田谷区は農地も多く、住宅街はのんびりした雰囲気の場所が多い
英語教育に力を入れる自治体は多く、その数は年々増加中
また、通学する学校を選べる、いわゆる学校選択制度をとる自治体が増えている中、世田谷区では地域とともに子どもを育てる教育を進めるとして、基本的には自由に通学校を選べない仕組みになっています。この地域で育てる姿勢の延長線上にあるのがすべての区立小学校・中学校に設置されている学校協議会、約8割が指定されている地域運営学校です。
これは保護者や地域の人たちが学校運営に参画してもらうことで、地域に開かれた学校を目指そうというもので、世田谷区が先駆。学校、地域ごとに取り組み、具体的な施策などには違いはあるものの、地域と一体となった子育てが進行しているようです。この施策、本来は子どものためのものですが、こうした取り組みに参加している人たちの声を聞くと、大人たちも実は地域に参加するきっかけを欲しがっていたようにも思えます。特に会社以外での人間関係を構築しにくいお父さんたちにとっては、地域に友人を作るいいチャンスでもあるようです。
ちなみにここまで述べてきた自治体以外で、独自科目を作っている例としては港区(国際科)、荒川区、杉並区、埼玉県新座市、同戸田市、狭山市(英語科)、千葉県松戸市(言語活用科)、埼玉県さいたま市(潤いの時間)などなど。また、葛飾区では2013年から小学校に体力向上科を導入する予定です。
少人数学級の先駆け、きめ細やかな施策で
学力、体力向上を図る志木市(埼玉県)
江戸時代には水運で栄えた志木市。商店街などには古い建物も残り、緑も豊富。写真は市役所
さいたま市などでも基礎学力向上のため、放課後や土曜日などを利用して補習的な授業を行っている
また、今後は保育ママを増やし、待機児童ゼロを目指したり、病児・病後児保育施設の設置、教育環境改善のために小中学校の冷暖房を見直すなどの計画もあるそうで、より子育てに良い街になることを期待したいところです。
スピーディーな保育所増で
待機児童数ほぼゼロを達成した横浜市(神奈川県)
2013年2月、杉並区で保育所に入所できなかったお母さんたちが区に対して異議申し立てを行ったというニュースが話題になりましたが、統計上は数が減っているはずの待機児童問題はいまだに深刻です。
横浜市の場合、市域が広いのでどこに住むかで保育以外の子育て環境は異なってくるので注意が必要
保育コンシェルジュは、認可外保育所や幼稚園の預かり保育など、子どもを預けられるあらゆる施設の情報を把握しており、各家庭の事情に合わせて適切な施設、方法を教えてくれる存在。認可保育所しか知らなければ、そこしかないと思ってしまいがちですが、他にも施設、方法があることが分かれば待つ必要がなくなる家庭もあるというわけです。
横浜市ではこのほか、地域内で子どもを預けたり、預かったりする「横浜子育てサポートシステム」、子どもが自由に遊びを創造できる場「プレイパーク」の設置、父親の育児参加を促す「パパ講座」など、ちょっと変わった施策もありますが、総じて小学校入学前の子ども、小学生の放課後に重点を置いた取り組みが多いようです。