剥離骨折とは……筋肉の瞬間的な収縮によって発生する骨折
剥離骨折とは筋肉の瞬間的な収縮で発生する骨折のことです
<目次>
- 剥離骨折が発症しやすい年齢・性差・部位
- 剥離骨折の症状と痛み……激痛で救急搬送されることも
- 剥離骨折の診断・検査法……レントゲン・CT検査
- 剥離骨折の治療法……ギプス等で安静治療・外科治療とリハビリ
- 剥離骨折の後遺症・予後……早めに整形外科専門医受診を
剥離骨折が発症しやすい年齢・性差・部位
運動、事故などに伴い発生する骨折ですので、比較的若年者に多く発生します。ただし家庭内の事故などでは高齢者にも発生します。男性に多い骨折ですが、もちろん女性にも発生します。腸骨、脛骨、膝蓋骨、第5中足骨などに頻度の高い骨折です。
剥離骨折の症状と痛み……激痛で救急搬送されることも
骨折した部位の腫脹と疼痛です。通常初期から激痛となることが多く、救急車で病院に搬送されることも多いです。剥離骨折の診断・検査法……レントゲン・CT検査
■単純X線単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明をうけられるので、整形外科では必ず施行します。
左足単純X線斜位像 。第5中足骨に剥離骨折を認めました
単純X線拡大像。骨折線がより鮮明に観察されます
■CT
単純X線で診断がつかない場合でもCTであれば診断可能です。
CT両足平面像。断層画像であるため、3次元的な構造が診断できます
剥離骨折の治療法……ギプス等で安静治療・外科治療とリハビリ
剥離骨折の治療として安静療法、手術療法の2つの治療法があります。■ギプス等による安静治療
我慢できる範囲の疼痛などであれば安静にして経過をみるのも一つの選択です。シーネ、ギプス、包帯などで患部の安定性を確保して、時間をかけて骨折した部位の骨癒合を計ります。長期間の固定が必要となりますので、運動、仕事の制限があります。
<鎮痛薬>
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDと省略されます)を用います。
- ボルタレン…1錠15.3円で1日3回食後に服用。副作用は胃部不快感、浮腫、発疹、ショック、消化管潰瘍、再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群、急性腎不全、ネフローゼ、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、肝障害、ライ症候群など重症な脳障害、横紋筋融解症、脳血管障害胃炎。
- ロキソニン…1錠22.3円で1日3回食後に服用。副作用はボルタレンと同様。
■手術治療・リハビリ
手術を早期に施行しリハビリを行う方法もあります。剥離骨折した骨片を金属等の固定具を使用して安定化させます。部位により、局所麻酔や全身麻酔の手術が必要で、通常入院が必要です。運動や仕事の必要性から、早く患部を使用する場合には、手術療法を選択することが多いです。
術後左足単純X線斜位像。金属製のネジで剥離骨折の骨片が強固に固定されています
術後に骨折が治癒した後にネジを除去します。抜釘術(ばっていじゅつ)と呼ばれます。
術後左足単純X線斜位像。固定に使用したネジが除去されます
剥離骨折の後遺症・予後……早めに整形外科専門医受診を
安静療法であっても、手術療法であっても、早期に治療を受ければ、剥離骨折の予後は良好です。ですので、早期に整形外科専門医を受診して下さい。【関連記事】