大腿骨頚部骨折とは

大腿骨は下肢にあり骨盤を支える骨として、歩行、運動、立位の姿勢保持、起立などさまざまな行動で重要な役割を果たします。

大腿骨近位部骨折の中に、大腿骨頭骨折、大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折、大腿骨転子下骨折の4つが含まれますが、この近位部骨折という専門用語は一般の方にはなじみがないので、ここではまとめて大腿骨頚部骨折と呼びます。

大腿骨

    大腿骨頚部は大腿骨の頭の部位に位置し、細い形態となっている


若年者では、転落、交通事故、スポーツなどで高エネルギー損傷に伴い大腿骨頚部骨折が発生しますが、骨粗鬆症のある高齢者では尻餅、転倒、脚立からの転落など比較的軽微な力で簡単に発生します。


大腿骨頚部骨折の年齢、性差

転落、交通事故などではあらゆる年齢で発生しますが、家庭での骨折は高齢者70歳代、80歳代、90歳代などに多くみられます。約80%が女性です。

大腿骨頚部骨折の症状

骨折した部位の疼痛です。腫脹はそれほど目立たない場合がほとんど。通常初期から激痛となることが多く、救急車で病院に搬送されることも多いです。歩行は通常は不可能です。

大腿骨頚部骨折の診断

●単純X線
単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明をうけられるので、整形外科では必ず施行します。
右大腿骨

                   右大腿骨頚部骨折。


●CT
単純X線で診断がつかない場合でもCTであれば診断可能です。
CT

                              大腿骨及び骨盤CT像。



大腿骨頚部骨折の治療法

大腿骨頚部骨折の治療としてはほとんどが手術療法の対象となります。

●人工関節置換術
大腿骨頭は骨膜からの血行がないため、治癒力が弱いです。転移の大きい骨折、高齢者などではプレート、ピンなどでの治癒が期待できないため、股関節全体を人工関節に置換します。

人工関節。

                骨折後の人工関節置換術。


●ピン
転移の少ない骨折では金属製のピンによる固定が行われます。

ピン

               金属製のピン2本による固定。


●プレート固定(金属製の板による固定)
骨折の部位によってはプレートを使用します。

プレート。

                プレート固定。


●ガンマ形髄内釘
骨折の部位により髄内釘を使用します。

髄内釘。

               ガンマ形髄内釘。




大腿骨頚部骨折の予後

高齢者の場合、手術を受けて1年以内の死亡率が10%程度と高率です。骨折を生じた時点での、心肺機能、感染症への抵抗力などが影響していると考えられます。手術を受けないと寝たきりの状態となり、その場合でも肺炎などで死亡することがあります。ですので手術を受けるか受けないかを慎重に決定することが必要となります。
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