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イタリア語でこんにちはの意味を持つ「Ciao! チャオ」
イタリア語でこんにちは
学習を始めて間もない学生たちがイタリアのちょっとした要人に会う機会があって、声を合わせて元気よく「チャオー!!!」と言ったので恥ずかしかった……とは、日本で教えるイタリア人のある先生から聞いた失敗談。
距離を置く相手へのあいさつ
「敬語を使って話す相手」には、午前中や午後の早い時間なら「buongiorno ブオンジョールノ」(おはよう/こんにちは)、夕方から夜にかけてなら「buonasera ブオナセーラ」(こんばんは)とあいさつします。「buonasera」を使い始める時刻は地域や人によって差があり、昼ごはんを食べ終わったらもう「buonasera」と言う人もいます(もっとも、イタリアの昼食は日本よりすこし遅めという事情もありますが)。ともに、「よい日、よい晩をお過ごしください」と相手に祈る祈願の表現に由来します。
発音のポイント 「u」は蛸の口で
イタリア語は日本語と同じように母音がはっきりしていて、ローマ字読みすればほぼいいので、発音が楽だといわれています。でも、日本語を母語とする私たちにとって手ごわい音もちらほら。「u」がそのひとつで、「“ウ”と言えばいいのね、簡単かんたん」と思いきや、意外にムズカシイ。日本語の「ウ」よりも、口をしっかり動かして出す音です。まず、口の筋肉を総動員して、筒状に突き出して丸めます。そして、しつこく、強く「ウゥー」というつもりで発音します。「おはようございます」「こんにちは」の「buongiorno ブオンジョールノ」も、まずは「bu」のところで“蛸の口”を作ってから、「-on」と続けてくださいね。
もう一つの出会いのあいさつ
イタリアで初対面の人を前にして、「はたしてこの人には敬語を使うべきか否か」と判断に困るときがあります。お店にふらりと入って、「店員さんには敬語かな、やはりここはブオンジョールノか」と考えている間に、店のスタッフから「チャオ!」と声を掛けられて、「そうきたか!」と不意打ちを食らった気になったり……。敬語か否かの判断に迷うときに頼りになるのが、いわば「第三のあいさつ」こと「salve サルヴェ」。「チャオ」よりも改まった、かといって改まりすぎてもいない、まさしく敬語と非敬語の中間に位置するようなあいさつです。しかも「チャオ」と同じくらい短くて言いやすいので、便利に使えます。
親しい人同士の、朝一番の「ブオンジョールノ」
さて、心理的に距離を置く相手への朝のあいさつ「buongiorno ブオンジョールノ」ですが、親しい人の間で使われることもあります。イタリアで友人宅に泊めてもらって、朝一番に「ブオンジョールノ」と声を掛けられる――そうすると、どうも敬語を使う者同士のときと、違う意味合いが感じられます。単なる朝の定型あいさつというよりは、この表現の源流にある“祈願パワー”が復活して、「よい日を過ごして欲しいと願っているよ!」というメッセージに満ち満ちている気がするのです。
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