貧乏人は、他人に迷惑をかけないように生きて貧乏になる
金持ちになれる考え方とは……
しかし貧乏になる人は、他人に気を使いすぎる傾向があります。「親が心配する」「家族を路頭に迷わせてはいけない」「借金が返せないかもしれない」「反発を受けるかもしれない」……だから行動できない。迷惑をかけることを恐れると、失敗できなくなる。それはつまり挑戦できないということになります。
人に迷惑がかかるのは挑戦している証拠
しかし稼ぐ人はこう考えます。「物事を徹底するとき、今までにない大胆なことをしようとするとき、しがらみや常識を打破しようするとき、必ず周囲との摩擦が起こる。しかし、それなくしてイノベーションはない」
「失敗したら、頭を下げて誠心誠意謝り、再起を誓う。一時的には迷惑をかけるかもしれないが、最終的に相手に報いることができればいい」
この意識の差が大胆な挑戦の差を生むのです。
実際、たとえばセブンイレブンは、「小分け・多頻度・混載」物流を小売業界で初めて実現しました。この物流方式は、納品のトラックの数を減らし、店舗の在庫を減らすことに貢献しました。
そのおかげで、店頭には3000種類もの商品を並べることができ、売れ筋の欠品も最小限にでき、私たちの利便性につながっているわけです。しかし当時、問屋からは「面倒くさい」と大ひんしゅくを買ったそうです。
誠実さは敵を味方に変える
私の友人で、不動産開発で成功している人がいますが、彼はサラリーマン時代、自分の勤めていた会社がリーマン・ショックの影響で倒産した過去を持っています。倒産前、資金繰りは悪化し、当然ながらお金を払うことができません。そんなとき、出資者や債権者にところに説明に行くのは、普通は嫌なものです。「いつ払えるんだ」「何やってんだ」と罵倒されるのがオチだからです。だから足が遠のき、それがますます債権者の怒りを買います。しかし彼は、逃げないどころか、出資者や債権者はもちろん、支払いが滞っている全員のところへ、毎週のように状況報告に行きました。メールではなく直接訪問です。その姿勢が、「こんなきちんと報告に来てくれるのはキミだけだ。キミは誠実だ」とプラスの評価に変わりました。
そして倒産後、彼は自分の不動産会社を立ち上げたわけですが、なんと過去に迷惑をかけたはずの取引先から、土地の情報やら融資やらを受けることができたのです。不況にもかかわらず、幸先の良いスタートを切ることができ、3年目ですでに年商30億円に急成長しました。
彼は、「あの倒産のおかげで、やっていいこと、やっちゃいけないことがわかった」「誠実さが重要だと痛感した」と言います。
失敗経験が次の意思決定を向上させる
アメリカでは多くの起業家が、資金を集めては会社を潰します。しかし彼らはすぐに別の事業を興し、何事もなかったかのように資金集めをします。エンジェルと呼ばれる個人投資家も、気にせずまた出資します。「失敗を経験した人間のほうが、次はよりよい意思決定ができる」と評価する人もいるくらいで、会社を潰せば落伍者扱いする日本とは正反対です。
サラリーマンでも同じで、稼ぐ人は失敗を恐れません。もちろん、会社の根幹を揺るがすような失敗は別ですが、普通は多少失敗しても、「始末書とゴメンナサイで許してもらえる」ものです。だから挑戦し、経験の引き出しを増やし、会社に貢献できる人材に育っていく。有望な人材を子会社の社長に据える人事が行われるのもそういう理由があるわけです。
もうひとつ。
日本の親は、「人様に迷惑をかけないように生きなさい」と教えますが、インドの親は「お前は人に迷惑をかけて生きているのだから、人のことも許してあげなさい」と教えることがあるそうです。前者は窮屈を与えますが、後者はほっとするものを与えます。今猛烈な勢いで大富豪が増えているインドですが、その背景にはこうした教育の違いもあるのかもしれません。
こんな話を多数掲載したのが、新刊「貧乏人が激怒する 新しいお金の常識」(光文社)です。金持ちになる人は金持ちになるように行動し、貧乏になる人は貧乏になるように行動しているもので、その差を、特に投資の面から解き明かした本です。
「貧乏人が激怒する」というタイトルの通り、短気な人にお勧めできない過激なコンテンツが満載です。たとえば、私が以前書いたコラムでは、世の中のインデックス投資家の反感を買ったそうですが、本書はそれをさらに上回ります。アクティブ投資を否定し「長期分散投資」とか「ETF投資」といったものを盲信する、インデックス教の信者にはかなり痛い内容となっていますから、激怒どころでは済まないでしょう。
とはいえ、2013年は「富の移転」が行われる年です。私も今年に入ってから、投資資金はすでに1.5倍に増えました。今までは年率300%くらいの増え方でしたが、昨年の暮れからはまるで異なるスピード感で資産が増えています。このチャンスをモノにし、自分から他人への富の移転ではなく、資産家から自分への富の移転を果たすには、本書が役に立つはずです。