S7の走りはクリーン&歯切れのよさが身上
ここでは、S7スポーツバックの走りについて、報告しておく。ひと言でいうと、軽快な過激さ、が走りの持ち味である。メルセデスAMGやBMW Mなどに比べると、上屋がすっと軽く感じられ、しっかりしているけれども“薄着”なフィーリングだ。そのぶん、足腰には不快な重々しさや粘り気などがなく、いかにもクリーンでスッキリと歯切れのよい走りが身上である。だから、街中では快適のひとこと。ドライバーに対する、精神的な圧迫感は微塵もなく、高性能であるにも関わらず、とてもカジュアルなお付き合いができる。
けれども、何せこのパワー&トルクを“隠し持つ”わけだから、ひとたびフルスロットルを試してみれば、まるで荒くれ台風がトタン屋根を捲りまくっている最中にいるような、迫力とスリルを味わうこともできる。
そんなときでも、S7のアシは、路面をしっかと掴んだままだ。最新のクワトロシステムは、通常時でも4:6、最大80%もリアに駆動を回す。だから、随分と4WDの嫌味はなくなったのだけれども、それでも時と場合に応じて前輪に70割の駆動が配分される安心感は、相当に頼もしい。加速時など、前も同時にぐいぐいと引っ張られていることが分かる。
加えて、先に挙げた電子制御システムの数々が、例えば踏んでも踏んでも内を向いてくれるといったヘタクソドライバー支援も含め、ドライバーの意気込みを上回ってクルマをコントロールしてくれるのだった。
アウディスポーツモデルの特長は、R8を除いてだけれども、この“気軽で頼もしいハンドリング”にあると思っている。