省エネ住宅でも大開口の窓がつけられる!ドイツ式発想法
日本では、省エネを考える時に「大きな開口」を取ると省エネになりにくいというイメージがあります。しかし、ドイツではガラスや窓の性能をウンと高めることで、大開口を可能にしているのです。そして、大開口を実現させるにはもう1つ仕掛けがありました。それは、屋外型ルーバーの設置です。これは夏の日射を遮るために使います。日本でいうと、よしずやすだれみたいなものでしょう。ドイツの夏は日本に比べて湿度が低いため、太陽の光を遮るだけで、窓を開けて通風をとったり、換気風量の温度調整のみで冷房設備が無くても過ごせるようです。
外付けの電動ブラインド。夏の日差しなどを遮へいしたり、外からの視線を遮るために使用する
パッシブハウスの視察を終えて
今回の視察で一番の驚きは、ドイツのエコ住宅に対する真摯な姿やその実現に向けての実行力でした。詳細は別の機会に触れますが、サッシに対する取り組みなどから考えても、現在は日本の先をいっているように実感しています。これまでの日本では、大きな窓を設けるとどうしても冷暖房負荷があがってしまうため、冬の省エネを考えると、太陽光を有効に取り入れることができる南面の開口部を大きく取るのが妥当でした。もちろんコストとのバランスはありますが、敷地から北側の眺めが良かったとしたら、これからの日本でも性能の良いガラスなどを活用することで大きな開口部を設置することも可能でしょう。サッシやガラスについては、今後も注目していきたいと思います。
今回は書ききれなかったのですが、もうひとつ興味深かったのは「廃熱利用」という考え方です。例えば、給湯設備でお湯を沸かす際に出る熱で空気もあわせて暖める、というふうに、欧米では無駄の無い設備の活用法なども積極的に研究されています。最先端の技術では、蓄電した電気をガスに変換するというものまで出てきています。この続きは、回を追って、これからの日本のエコ住宅に何が必要で何が活用可能か、なども交えて分かりやすく話をしていきたいと思います。