ギャラ交渉がうまくいかず、出演者たちが訴訟まで起こした現代型人気ファミリーコメディ
『モダン・ファミリー』
作品の中で出演者たちがカメラ目線で視聴者に話しかける「モキュメンタリー」という手法が話題となった本作。2009年から現在まで全米で放送されており、批評家からの評判も高く、エミー賞を3年連続受賞、その他ゴールデングローブ賞で作品賞も受賞した名実ともに優れたコメディ作品です。再婚同士の夫婦、それぞれの連れ子を1つの家族として描いた、現在の家族のあり方をリアルに描いたコメディで、日本ではまだ先進的すぎるのだけど、現代のアメリカ家族あるあるがたっぷりで大変興味深い内容になっております。
ちなみに、アメリカでは第一話をテレビ放送公開前に「パイロット版」という形で、メディアや批評家たち向けにクローズドで公開します。そこで、あまりにも評価が低ければ、1話の制作だけで打ち切り、評価がある程度よければ、テレビで連続放送するために2話目以降のエピソードの制作を進めます。1話1話かなりの予算と時間をかけて作りますから、はじめから一気に制作することはしません。「ある程度ヒットする、あたる」という確証を得てから、次を制作していくのです。したがって、発表当時は12話だったものが、思ったより人気なので、24話まで作ります、なんてこともしょっちゅう。その逆ももちろんしかり。
話が横道にそれてしまいましたが、この『モダン・ファミリー』はそのパイロット版公開の時点で関係者からの評価がかなり高く、各誌で話題となった結果、初回の視聴者数が全米1,260万を突破し平均値をはるかに上回りました。そのまま視聴率キープでシーズン4まで続行決定。シーズン4更新時点で、「世間での人気と比較してギャラがあまりにも安すぎる!」と出演者5人がテレビ局相手にギャラの値上げ交渉を行いました。しかし、テレビ局が出演者陣の提示したギャラに納得しなかっため交渉が決裂、事態は法廷にもつれこみます。みんなが楽しみにしていたシーズン4の制作もいったんストップし、一時は出演者とテレビ局の決裂で、『モダン・ファミリー』打ち切りになるのではか!?とひやひやさせましたが、結局テレビ局側が出演者陣の希望に応じるとコメントしたことから事態は収拾。シーズン4の制作が無事スタートしたのです。
出演者陣の権利を守るために、よきタイミングでのギャラ交渉はもちろん必要ですが、今は昔のようにエンターテイメント業界がお金で潤っているわけでもないので、言い値で通るのもまぁ難しい話。現実から離れて楽しむためのテレビドラマなので、正直訴訟にまでもつれこむのは、視聴者として避けてほしいなぁなんて思ったりもして。
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