初期費用の見直し
家賃のダウンは、居住者の収入のダウンも影響しています。実は、下記のように国民の平均年収は10年連続でダウンしています。オーナー業を営む方は、ピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、賞与や残業など収入全般が減っており、10%以上も平均給与は減っているのです。賃料の低下だけでなく、初期費用を下げての募集は、こうした社会情勢も影響を受けています。
(参考資料:国税庁ホームページ/民間給与実態統計調査より)
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2009/pdf/001.pdf
敷金から礼金への動きも
加えて、敷金については、法整備も徹底されており、基本的には、敷金清算は貸主の故意過失による損耗などに限定されています。原状回復の費用の負担は、破損部分の補修工事に必要な施工の最小単位に限定され、破損部分の通常損耗・経年変化分の経費は貸主の負担と厳格化されています。各地で、敷金の少額訴訟は、借主に有利な判決が出ており、「だったら、敷金よりは礼金として確保しよう」という不動産会社もいらっしゃいます。
「敷金なし・礼金なし」というゼロゼロ物件も増えてきました。こうしたケースは、借主の経済状況を考えると当然の傾向でもありますが、退去時の清算リスクも高くなります。敷金内で済めば特約などの明記によって、借主負担もスムーズに進むケースがありますが、そもそも最初にゼロゼロだったわけですから、退去時の交渉難易度もあがることになります。
■それでは、次ページでPlace(場所)という観点で分析してみます。「不動産」ですから「動かない」という前提のビジネスですが、あえて「場所を変える」という選択です。