今年の賃貸マーケットは、「地域格差の拡大」「賃料ダウンの二極化」「物件付加価値の競争」がキーワードになります。空室を埋めるためには、企業経営同様、4P(Place・Price・Product・Promotion)が決め手となります。
どうなる?2013年のアパートマンション経営vol.2では、「Price(価格)」と「Place(場所)」の観点で論じさせていただきます。
決め手は4P(Place・Price・Product・Promotion)
賃貸経営に限らず、ビジネスの基本的な戦略は4P(Place・Price・Product・Promotion)で語られることが多いものです。米国のマーケティング学者、マッカーシーが1961年に提唱したマーケティングミックスを構築する上での分類です。
Placeは「場所(もしくは流通経路)」
Priceは「価格」
Productは「製品・サービス」
Promotionは「販売促進(もしくは広告戦略)」
です。
家賃を下げる
まず、Price「価格」というと、賃貸経営で注目されるのは賃料です。
全国で家賃は下がっています。Vol.1で述べましたように、特に2008年のリーマンショック以降から短期間で家賃は下落しています。
左図のように23区内の平米単価賃料は推移しています。リーマンショック前をピークに、平米単価3300円超から3000円まで下がりました。実に10%のダウンがここ3年半で起こったわけです。平均賃料で、12万から10万まで下がっていますが、平米単価で比較すると10%。表面利回り10%と考えると、もはや下げられないところまで来ているのではないでしょうか?
ここまで下がると、今後、なかなか賃料を下げることは難しくなってしまいます。ここ一年の募集賃料を見ると、各地で安定しており、「下げ止まった」といえそうです。実際に、「底を打った」というような数値で、23区内の平米単価は、2012年に逆転に転じています。
とはいえ、利回りに余裕があるのであれば、賃料競争も有効な手立てです。すでに建築時のローン支払いが終わっている物件であれば、気にせず下げて戦うということもありえるでしょう。築浅物件の賃料は10%以上は下げにくい状況ですが、築古物件は、今後さらに下がる可能性があります。こうした「賃料ダウンの二極化」が加速するのではないでしょうか。
また、近隣に同仕様の新築物件が安く供給されたとすれば、危機感を高めなければなりません。今、満室であっても、「周囲はいくらの募集賃料なのか」という点は、常に敏感に調べておく必要があります。今は、インターネットでいくらでも検索できます。オーナーができることは、借りる人たちもできるということです。将来の退去リスクに備えるためにも、日頃からネットを見ることをお勧めします。
では、初期費用などの変化はどうなっていくでしょう。次ページで分析します。